『トイレスマホで「無限10倍株」』- 忙しいあなたが資産9倍を達成するIPOセカンダリ投資術
本書『トイレスマホで「無限10倍株」』は、激務の本業と3人の子育てに追われながら、トイレ休憩などのわずかなスキマ時間だけで株式投資を行い、約3年半で資産を9倍超(700万円→6675万円)に増やした著者「テンバガー投資家X」氏による、超実践的な投資術の解説書です。
15年間負け続けた著者がたどり着いたのは、調査対象が少なく忙しい人に最適な「IPOセカンダリ投資」という手法。本書では、将来10倍になる「テンバガー銘柄」を見つけ出すための超具体的な「11のスクリーニング条件」や、リスクを抑えてエントリーするための「買い時を見極める方法」が、著者の成功・失敗体験を交えて詳細に語られています。
さらに、長期保有でじっくり資産を育てながら、同じ銘柄の短期売買を並行して行うことで利益を無限に積み上げる「無限10倍株」の極意も公開。「時間がないから個別株は無理」と諦めていたビジネスパーソンにとって、資産形成の新たな道を切り拓く一冊です。
本書の要点
- 忙しい人こそIPO銘柄が狙い目:年間100社程度のIPO銘柄に絞ることで、4000社近い全上場企業から探すより圧倒的に効率よくテンバガー候補を見つけられる。
- 10倍株を見抜く「11の条件」:再現性の高いスクリーニング術を公開。特に「成長性の高いビジネスモデル」「売上・利益の伸び」「PER40倍以下」を重視し、リスクの低い優良銘柄を厳選する。
- 焦らず「待つ」のが勝利の鍵:どんな優良銘柄でも割高なタイミングで買ってはならない。著者の失敗談から、適切なPER水準まで待つことの重要性を説く。
- 長期保有と短期売買の二刀流「無限10倍株」:厳選した銘柄を長期保有しつつ、同じ銘柄で短期の回転売買を並行。株価10倍を待つ間に、確定利益を積み重ねて投資効率を最大化する。
- 本業と両立してこその成功:SNSの情報に惑わされず、リスク管理を徹底し、本業の収入を大切にすることが、精神的な余裕を生み、長期的な投資の成功につながる。
はじめに:あなたの「時間がない」は、投資を諦める理由にならない
「仕事が忙しくて、銘柄分析なんてしている暇はない」
「子育てに追われ、自分の時間すら持てない」
「投資に興味はあるけど、何から手をつけていいかわからない」
多くのビジネスパーソンが、このように感じているのではないでしょうか。かつての私もそうでした。しかし、本書の著者であるテンバガー投資家X氏は、私たちと全く同じ、いや、それ以上に過酷な状況から株式投資で大きな成功を収めています。
毎日の仕事は激務で、ストレスは過多状態。すべての仕事を終えて職場を出るのはだいたい20時過ぎで、そのころにはもう、心身共にヘトヘトです。
家に帰れば、3人の子どもたちが飛びついてきます。一番上は小学生で、下の2人はまだ幼稚園児。一番手がかかる年齢なので、子どもたちが起きている間や休日は、ゆっくり自分の時間というわけにはいきません。
本書は、そんな著者が「トイレ休憩」という究極のスキマ時間を主戦場に、わずか3年9カ月で5975万円もの利益を叩き出した驚きの投資術を、余すところなく公開した一冊です。なぜ彼は、時間が無いにもかかわらず、15年間の負け続きから一転して常勝投資家へと変貌できたのでしょうか。その秘密は「IPOセカンダリ投資」にありました。
なぜ著者は15年間負け続け、突如勝てるようになったのか?
著者の投資歴は20年以上に及びます。しかし、本書で紹介されている手法にたどり着くまでの15年間は、まさに「泣かず飛ばず」の状態でした。
- テーマ株投資の失敗:有機ELという新技術に期待して投資するも、業績に結びつくまで時間がかかりすぎ、うまくいかない。
- ITバブルの損失:ライブドアや楽天といった花形IT企業に投資するも、超割高な株価に飛びついた結果、暴落に巻き込まれ大損。
- アベノミクス相場に乗れず:「サルでも儲かる」と言われた歴史的な上昇相場でさえ、大型株への不信感から新興企業に固執し、全く恩恵を受けられなかった。
数々の失敗を経て、著者は流行りの投資テーマを追いかける手法が自分には合わないと痛感します。そんな彼が最後に行き着いたのが、「IPOセカンダリ投資」でした。
転機となった「IPOセカンダリ投資」との出会い
IPO(新規公開株)投資は、上場前に株を抽選で手に入れ、上場初値で売ることで利益を狙う手法として人気です。しかし、人気銘柄の抽選は倍率が非常に高く、なかなか当たりません。
著者が発見した「IPOセカンダリ投資」とは、抽選に当たらなくても、上場した「後」に市場でその株を買うという手法です。この手法の最大のメリットは、以下の点にあります。
- 誰でも参加できる:抽選は不要。証券口座さえあれば、誰でも有望なIPO銘柄に投資できます。
- 調査対象が絞られる:日本の全上場企業は約4000社ありますが、年間のIPO企業はわずか90~100社程度。忙しいビジネスパーソンでも、十分に調査・分析できる数です。
- テンバガーの宝庫である:ある調査によると、全上場企業の4社に1社がテンバガー(10倍株)を達成していますが、IPO銘柄に限ればその割合は3社に1社、年によっては2社に1社にまで跳ね上がります。
4000銘柄の中から宝物を探すのは困難ですが、100銘柄の中からであれば、見つけられる可能性は格段に高まります。この事実に気づいた著者は、投資対象をIPOセカンダリに絞り、そこから彼の快進撃が始まったのです。
【超重要】10倍株を見抜く「11のスクリーニング条件」
では、年間約100社の中から、どうやって本物の「お宝銘柄」を見つけ出すのでしょうか。本書の核心部分とも言えるのが、著者が実践する「無限10倍株のスクリーニング11カ条」です。
ここでは特に重要だと著者が語る条件をいくつか抜粋してご紹介します。
最重要条件:成長可能性の高いビジネスモデル
著者は、短期的な株価は無関係に動くが、中長期的な株価は必ず業績を反映すると断言します。そして、将来も業績が伸び続ける強力な根拠となるのが「ビジネスモデル」です。特に、以下の3つのモデルに注目しています。
- ストックビジネス型:顧客から毎月・毎年、継続的に収益を得るモデル(例:動画配信サービス、不動産賃貸)。著者がテンバガーを達成したアズーム(3496)も、月極駐車場のサブリースというストック型ビジネスでした。
- 多店舗展開型:成功している店舗や営業拠点を増やすことで、売上・利益を伸ばしていくモデル(例:介護施設、ゲームセンター)。
- 営業人員依存型:人材を増やし、戦力化することで収益を拡大するモデル。著者が注目するFPパートナー(7388)は、未経験者を採用・教育して優秀なファイナンシャルプランナーに育て上げる力で成長しています。
必須条件:売上と利益が伸びている黒字企業
どんなに素晴らしいビジネスモデルでも、それが結果(数字)に表れていなければ意味がありません。
- 売上が過去数年にわたり右肩上がりであること
- 本業の儲けを示す「営業利益」も一緒に伸びていること
- 赤字企業は避けること
特にIPOしたての企業には、シェア獲得のために先行投資がかさみ「増収減益」や「赤字」の企業も少なくありません。しかし著者は、期待だけで株価が上がっている銘柄は脆いと考え、しっかりと利益を出している企業に絞ることで、暴落リスクを徹底的に排除しています。
安全装置:PERが40倍以下(理想は20倍以下)
PERは株価の割安度を示す指標です。成長株投資では「PERは気にするな」という声も多いですが、著者は自身の痛恨の失敗から、この条件を極めて重視しています。
彼がテンバガーを達成したアズーム株。実は最初、PER70倍という超割高な水準で飛びついてしまい、株価の下落で100万円以上の含み損を抱え、泣く泣く損切りした過去があります。しかし、その銘柄の成長性を信じて監視を続けた結果、コロナショックでPERが20倍台まで下がった絶好のタイミングで再度エントリー。その投資が、後に17倍もの株価上昇に繋がったのです。
この投資で痛感したことは、やはり良い銘柄の株は上がるということ、そしてたとえそうであっても割高すぎる水準で買ってはいけないということです。
この経験から、どんなに魅力的な銘柄でも、割高なタイミングでは手を出さないというルールを徹底。これが、トイレトレードでも大きな心配なく取引できる精神的な安定につながっているのです。
資産を爆発的に増やす「無限10倍株」の極意
本書のタイトルにもなっている「無限10倍株」。これは、ただテンバガーを待つだけでなく、さらに投資効率を高めるための応用戦略です。
その方法は驚くほどシンプル。
「テンバガーを目指して長期保有している銘柄で、短期売買も並行して行う」
これだけです。
IPO銘柄は値動きが激しく、特に理由もなく大きく上下することが日常茶飯事です。その特性を利用し、長期保有分はそのままに、別口座(著者は信用取引を利用)で「安くなったら買い、少し上がったら売る」を繰り返すのです。
本書冒頭で紹介されているグッピーズ(5127)の取引は、まさにこの手法の実践例です。
決算発表前に株価が下落したタイミングで仕込み、決算への期待感で株価が上昇した当日に売却して36.6万円の利益を獲得。
その後、良い決算だったにもかかわらず市場の過度な期待に応えられず暴落した翌日にすかさず買い戻し、その翌日にリバウンドしたところで売却して35.8万円の利益を確定。
この間、わずか9日間のトイレトレードで70万円以上を稼ぎ出しています。
この戦略のポイントは、
- 対象は長期保有できると確信した優良銘柄のみ:万が一、短期売買で含み損を抱えても、長期では株価が戻ると信じられるため精神的に安定する。
- 空売りは絶対にしない:株価は中長期的に上がると信じている銘柄なので、下落は一時的な「買い場」と捉える。
- 利益確定は欲張らない:1回の利益は小さくても、回転させることで利益を積み上げていく。
この手法により、株価が10倍になるのをただ待つだけでなく、その過程で発生する無数の上下動すらも利益に変え、一つの銘柄から無限に利益を引き出すことが可能になるのです。
投資で成功し続けるための5つの心得
最後に、著者が20年の投資経験で得た教訓として、投資家が心に刻むべき5つの心得が紹介されています。特にビジネスパーソンにとって重要なのは以下の2つでしょう。
心得①:SNSの情報や他者の言うことは鵜呑みにしない
SNSは便利な情報収集ツールですが、玉石混淆です。著者は、他人の推奨銘柄に安易に乗るのではなく、必ず自分の頭で考え、本書で紹介したような明確な基準に基づいて投資判断を下すことの重要性を説いています。失敗したとしても、自分で考えた結果であれば納得でき、次の成長につながるからです。
心得④:本業である仕事は安易に手放さない
投資で成功すると、早期リタイア(FIRE)を夢見る人もいるかもしれません。しかし著者は、安易に本業を手放すことに警鐘を鳴らします。本業による安定収入がなくなることで心に余裕がなくなり、冷静な投資判断ができなくなるリスクを指摘。「10億ぐらいつくれたら、そのときやっと考え始めるぐらいの気持ち」と語り、まずは本業と両立できる投資法を確立することが重要だと述べています。
まとめ
本書『トイレスマホで「無限10倍株」』は、単なる精神論や曖昧なテクニック論ではありません。15年間負け続けた著者が、試行錯誤の末にたどり着いた、極めて再現性が高く、論理的な投資手法が詰まっています。
特に、
- 調査対象をIPO銘柄に絞るという「効率性」
- 11の条件でスクリーニングするという「再現性」
- PERを重視し、割安になるまで待つという「安全性」
この3点は、時間に追われ、大きなリスクを取れない多くのビジネスパーソンにとって、まさに理想的な投資戦略と言えるでしょう。
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