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新NISA時代の投資術!経済評論家・上念司が教える「インフレに勝つ」最強の資産防衛法

ヒガマツコ

著者:

本書『経済学で読み解く正しい投資、アブない投資』は、デフレからインフレへと経済フェーズが転換した現代日本において、資産を守り増やすための「最適解」を提示する一冊です。著者の上念司氏は、個別株投資やテクニカル分析を「運任せのギャンブル」と切り捨て、経済学の理論に基づいた「インデックスファンドへの積立投資(ドルコスト平均法)」こそが、プロをも凌駕する最強の投資法であると説きます。また、中国経済の減速や国際情勢(地政学)のリスクを読み解きながら、氾濫する詐欺情報(ノイズ)に惑わされず、正しいシグナルを掴むためのリテラシーを養う重要性を強調しています。

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本書の要点

  • インフレは「現金への課税」である:物価上昇により現金の価値は目減りするため、リスクを取って運用しないことは、確実な損失を意味する。
  • 経済学は裏切らない:株価は短期的にはノイズで動くが、長期的には「マネタリーベース(お金の量)」などの経済理論通りに収束する。
  • 最強の投資は「自動運転」:個別株やアクティブファンドはプロでも勝ち続けることが困難。市場全体を買う「インデックス投資」を毎月定額積み立てることが唯一の必勝法。
  • 地政学リスクを知る:米中の覇権争いや中国の少子高齢化などの構造的問題は、長期的なインフレ圧力となり、投資判断の重要な指針となる。
  • 「ノイズ」と「詐欺」に注意せよ:日経新聞の相場解説は後付けのノイズに過ぎない。また、「年利20%」などの甘い言葉や陰謀論めいた投資話には、反証可能性を持って対峙すべきである。

インフレ到来!「投資しない」ことが最大のリスクになる

長きにわたるデフレの時代、日本において「現金」は最強の資産でした。モノの値段が下がるデフレ下では、現金の価値は相対的に上がり続けるからです。しかし、著者の上念司氏は、アベノミクス以降の金融緩和、そしてコロナ禍やウクライナ情勢を経て、日本経済のレジーム(体制)は完全に「インフレ」へと転換したと断言します。

インフレとは、モノの価値が上がり、お金の価値が下がることです。例えば、年率3%のインフレが続けば、100万円の現金は翌年には実質97万円の価値しか持たなくなります。著者はこれを「インフレとは一種の税金であり、リスクを取らない人に集中的にかかる」と表現しています。

2024年3月には日銀がマイナス金利を解除し、物価上昇率も目標の2%を超えて推移しています。もはや「タンス預金」や「銀行預金」にお金を眠らせておくことは、資産を守るどころか、確実に資産を目減りさせる行為なのです。

著者は、過去20年間の日本の家計が、現預金偏重であったために被った「機会損失」についても言及しています。もし2001年から家計資産の一部をインデックス投資に回していれば、資産総額は数百兆円単位で増えていたという試算もあります。これからの時代、資産防衛のためには「価格変動リスク」を受け入れ、株式などの資産を持つことが不可欠なのです。

どの株を買うべきか? 答えは「全部買う」

では、具体的に何を買えばよいのでしょうか? 忙しいビジネスパーソンにとって、個別企業の財務諸表を読み込んだり、業界動向を分析したりする時間はありません。著者は、個人投資家がプロの機関投資家に個別株勝負で勝つことは不可能に近いとし、「どの株も買ってはいけない」と逆説的に述べます。

その真意は、特定の銘柄を選ぶのではなく、市場全体を買う「インデックス投資」を推奨することにあります。

インデックス投資の強み

TOPIX(東証株価指数)のような指数に連動する投資信託(ETF含む)を購入すれば、たった数万円で東証に上場する約2,200社すべてに分散投資しているのと同じ効果が得られます。
これにより、ある1社が不祥事で暴落しても、ライバル企業の株価が上がることで相殺されるなど、リスクが大幅に軽減されます。著者はこれを、市場の平均点を確実に取りに行く戦略として推奨しています。

推奨銘柄:なぜ「S&P500」や「オルカン」ではないのか?

昨今の新NISAブームでは、米国株(S&P500)や全世界株式(オルカン)が人気ですが、著者はあえて「日本株のインデックス(TOPIX)」を推しています。
その理由はシンプルで、我々が日本で生活し、円を使っているからです。外国株への投資は、株価変動リスクに加え「為替変動リスク」を負います。ヘッジコストを払ったり、為替の波に翻弄されたりするよりも、インフレに強い日本株を持つことで、国内の物価上昇リスクを相殺すれば十分だという考え方です。もちろん、資金に余裕があれば分散投資も良いですが、「まず一つ選ぶならTOPIX」というのが著者のスタンスです。

プロを打ち負かす「ドルコスト平均法」と「自動運転」

投資の最大の敵は、人間の「感情」です。相場が上がれば強気になり高値で買い、暴落すれば不安になって安値で売ってしまう。これを避けるための鉄則が「ドルコスト平均法」です。

これは、毎月決まった日に、決まった金額(例えば手取り給与の2割など)を機械的に買い続ける手法です。
* 価格が高いときは、少なく買う。
* 価格が安いときは、多く買う。

これにより、平均取得単価を平準化できます。著者はこの手法を、主宰するオンラインサロンで「自動運転」と呼んでいます。一度設定すれば、あとは日々の株価の動きに一喜一憂せず、仕事や趣味に没頭していればいいのです。

著者は、アクティブファンド(プロが銘柄を選定して市場平均以上のリターンを狙うファンド)の多くが、長期的にはインデックスファンドに負けている事実を指摘します。アクティブファンドの好成績は、じゃんけん大会の優勝者のようなもので、「再現性のない偶然の産物」であることが多いのです。

実際、『世紀の空売り』で知られる著名投資家マイケル・バーリ氏でさえ、半導体株の下落に賭けて失敗し、その後慌てて買い戻すといった失態を演じています。天才的なプロでも読み間違える相場を、素人が予測するのは不可能です。だからこそ、予測を放棄して淡々と積み立てる「自動運転」こそが、最強の投資法となるのです。

中国経済の停滞と地政学リスク

投資を行う上で、マクロ経済や国際情勢(地政学)の視点は欠かせません。特に著者が警鐘を鳴らすのが、隣国・中国の動向です。

著者は「サル山理論」を用いて米中対立を解説します。ボス猿(米国)は、ナンバー2(中国)が台頭してくると必ず叩きにいきます。これは構造的な問題であり、簡単に解消されるものではありません。
さらに、中国は以下の「2つの大きな問題」を抱えています。

  1. 人口動態の悪化:少子高齢化が急速に進み、「中所得国の罠」を突破する前に労働力が減少に転じている。実際の人口は公称14億人よりも大幅に少ないという推計もある。
  2. 不動産バブルの崩壊と不良債権:日本のバブル崩壊時とは異なり、中国は価格統制によって表面上の数字を取り繕っているが、それが逆に経済の自浄作用を阻害し、長期停滞(日本化)を招いている。

習近平政権のような権威主義体制は、メンツのために間違いを認めず、誤った経済政策(ゼロコロナ政策など)を修正できない硬直性があります。これにより、中国経済はかつてのような高成長は見込めず、むしろ「ウザ絡み」のような形で台湾や周辺国への軍事的圧力を強めるリスクがあります。

世界が「自由主義陣営」と「権威主義陣営」に分断される中、サプライチェーンの混乱やコスト増は避けられず、これもまた世界的なインフレ圧力となります。こうした世界情勢を理解することも、インフレ時代を生き抜くための重要なリテラシーです。

詐欺師は「恐怖」と「高利回り」で近づいてくる

投資への関心が高まるにつれ、詐欺被害も増えています。著者は、詐欺師の手口には共通のパターンがあると指摘します。

1. 恐怖を煽る(ノイズによる洗脳)

「財政破綻する」「預金封鎖が起きる」「新円切り替えで資産が紙くずになる」といった、経済学的に根拠の薄いホラーストーリーでターゲットを不安に陥れます。著者は、現在の日本のインフレ率や財政状況を見れば、そのような極端な措置が必要ないことは明らかだと一蹴します。

2. 利回りマウント

まともなインデックス投資をしている人に対し、「年利5%程度で満足しているの?」「うちなら月利4%(年利48%!)で回るよ」とマウントを取ってきます。
著者は断言します。「月利4%なんて危ない商売に決まっている」。世界的な優良企業ですら配当利回りは年数%です。リスクなしに高利回りが得られる話など存在しません。

3. 陰謀論(GESARA/NESARAなど)

「借金がチャラになる」「イラクディナールが数千倍に暴騰する」といった荒唐無稽な話を信じ込ませる手口です。特に、IQが高い人ほど「自分は騙されない」という過信や、複雑な情報を好む傾向(合理性障害)があり、こうした「真実っぽい」情報にハマりやすいと警告しています。

騙されないためには、「反証可能性」を考えることが重要です。「どうなればその理論は間違いだと証明できるか?」を考えること。詐欺や陰謀論には、この反証可能性が欠けているのです。

まとめ:経済学の知見を武器に、シンプルに投資せよ

著者のメッセージは一貫しています。「経済は経済学の理論通りに動く」ということです。

日経新聞の相場解説は、上がれば「リスクオン」、下がれば「リスクオフ」と後付けで理由をつけているだけの「ノイズ」に過ぎません。そんなものに一喜一憂せず、マネタリーベースの拡大やインフレ率といった基本的な「シグナル」に注目すべきです。

忙しいビジネスパーソンにとっての最適解は、以下の3点に集約されます。

  1. インフレを受け入れ、現預金以外の資産を持つ覚悟を決める。
  2. 余計な色気を出さず、TOPIXなどのインデックスファンドを毎月定額積み立てる(自動運転)。
  3. 「年利20%」のような甘い話や、「日本破綻」のような極端な悲観論(ノイズ)を無視する。

上念氏は、自身もこの手法で資産を形成し、実業を行っていると述べています。魔法のような一発逆転の方法はありませんが、経済学という「レシピ」通りに調理すれば、誰でも大失敗することなく、着実に資産を守り育てることができるのです。

これから投資を始める人も、すでに始めている人も、一度立ち止まって「自分の投資はノイズに振り回されていないか?」を確認してみてはいかがでしょうか。本書は、そのための最良のガイドブックとなるはずです。

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ブックロウ
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王立図書館の司書
はじめまして、管理人の「ブックロウ」です。まるで物語に出てくるフクロウのように、夜な夜な本を読みふけるのが私のライフワーク。特に、仕事や人生のヒントが詰まったビジネス書・自己啓発書には目がありません。「本を読む時間はないけど、知識はアップデートしたい…」そんな悩めるあなたの為に、私が代わりに本を読み、明日からすぐ使える実践的なポイントや成功のエッセンスを分かりやすく解説します。千葉県東松戸のカフェでこのブログを書いていることが多いので、もし見かけたら気軽に声をかけてくださいね。皆さんの自己成長をサポートできることを、心から楽しみにしています。
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