なぜ弁護士は朝4時半に起きるのか?『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』に学ぶ、忙しい日々に「ボーナスタイム」を生み出す方法
毎日仕事に追われ、「自分の時間がない」と感じているビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。本書『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』は、まさにそんな悩みを抱える人々に向けた一冊です。
著者である米国弁護士キム・ユジン氏は、朝4時30分に起きる「明け方起床」を実践することで、会社員としての激務と自己成長、趣味、さらには執筆活動までを両立させています。
この記事では、本書に基づき、なぜ早起きが人生を変えるのか、そして忙しい日々の中でいかにして「自分だけの時間」を確保し、人生の主導権を取り戻すかについて、具体的な方法とともにご紹介します。
本書の要点
- 明け方の時間は、誰にも邪魔されず、完全に自分がコントロールできる「ボーナスタイム」である。
- 早起きは睡眠時間を削ることではなく、睡眠サイクル全体を前にずらすことであり、十分な睡眠時間の確保が前提となる。
- 早起きの目的は「すごいこと」をするためではなく、まず自分の心と向き合い、自分を最優先にする時間を持つことにある。
- 明け方の「ひとり時間」に読書、運動、勉強、趣味などを実践することで、自己肯定感が高まり、新たなチャンスや成長につながる。
- 時間は管理するものではなく、「自分自身を管理する」意識が重要であり、早起きはそのための最も有効な手段である。
なぜ、エリート弁護士は朝4時30分に起きるのか?
「毎朝6時半の通勤バスに間に合わせるために6時に起床し、夜は疲れ果ててテレビやスマホを眺めるだけ。仕事が終わると何もしたくない……」
本書の著者キム・ユジン氏も、かつては私たちと同じように、代わり映えのない日々に無気力感を覚えていた一人でした。米国で司法試験に合格し、韓国の大企業で弁護士として働くという「夢」を叶えたにもかかわらず、心は満たされず、常に疲弊していたのです。
そんな彼女の人生を変えたのが、ある日たまたま早く目が覚めたことから始まった「朝4時30分起き」の習慣でした。
著者は、明け方の時間を「自分がコントロールする時間」と呼び、それ以外の時間を「運命に任せる時間」と表現しています。日中は、仕事、急な予定、他人からの連絡など、自分の意思とは関係なく時間が奪われていきます。しかし、世の中がまだ寝静まっている明け方は、誰にも邪魔されません。
明け方は誰も私に関心を持たず、私もまた誰にも関心を持たない。だから完全に自分だけの時間を、自分だけのペースで自由に活用できる。
この「ボーナスタイム」を手に入れることで、著者は会社員でありながら新しい挑戦を楽しみ、本の執筆まで手がける人生を手に入れたのです。
「朝が弱い」は関係ない。早起きを成功させる「5秒ルール」
「朝4時半なんて絶対に無理」「朝は苦手だ」と思うかもしれません。著者も「今でも眠りから覚める瞬間は体が鉛のように重い」と告白しています。
では、どうやって起きるのか? 著者が実践しているのは、驚くほどシンプルな方法です。
「5、4、3、2、1、起きよう!」
アラームが鳴った瞬間、あれこれ考える猶予を自分に与えず、5秒カウントダウンして体を起こすのです。「あと5分だけ」という誘惑に負けると、睡眠サイクルが中断されて逆に一日中疲労感を覚えてしまう、と専門家も指摘しています。
大切なのは「何のために起きるのか」を明確にすること。明け方起床に成功する人は、その時間に夢を叶えられることや、自由な時間を確保できることを「大きなご褒美」だと考えています。
まずは「今起きて運動すれば、夜に好きなものを食べられる」「通勤バスで寝ればいい」といった具体的なメリットを思い浮かべ、5秒だけ耐え抜く。この小さな勝利の積み重ねが、人生を変える第一歩となります。
ポイントは「起床時間」より「就寝時間」
早起きと聞くと、「睡眠時間を削る」イメージを持つかもしれませんが、著者はそれを明確に否定しています。
明け方起床は睡眠を減らすことではなく、睡眠サイクル自体を前にずらすことだからだ。
著者は一日7時間程度の睡眠を心がけ、普段は夜10時前に寝るようにしていると言います。健康に影響するのは起床時間ではなく、「総睡眠時間」です。
忙しいビジネスパーソンにとって、会食や残業で早く寝られない日もあるでしょう。そんな時は、無理して早く起きる必要はありません。「早起きできない日があっても気にしない」ことが継続のコツです。
ある日は早く寝て早く起き、難しい日は少し遅くまで寝る。大切なのは、自分なりの「時差」を作り、規則的な生活の基本リズムを体に覚えさせることです。そうすれば、明け方4時30分に起きることが「早起き」ではなく「日常」に変わっていきます。
明け方に「何をするか」問題。すごいことをする必要はない
では、せっかく早起きして手に入れた「ひとり時間」に何をすればよいのでしょうか。
著者は「常に特別な何かに取り組む必要はない」と強調します。大切なのは、早起きしたという事実そのものであり、その時間をどう使うかは自由なのです。
著者が最初にしたことは、「自分の心を覗いてみること」でした。
「今自分が本当にしたいことは何か」「これから自分にできることは何なのか」を、白紙に書き出して整理することから始めたのです。
本書では、具体的な明け方の過ごし方が5つ提案されています。
- 先延ばしにしたことをやる(仕事など)
夜の残業は「仕事に追われる」嫌な気分になりますが、朝の仕事は「あらかじめ片付けた」爽快感を味わえます。出勤前に2〜3割終わらせておくだけで、日中の心に余裕が生まれます。 - 体を動かしてみよう(運動)
朝の運動は、ぐっすり寝た後なので疲れにくく、むしろ体が軽くなり集中力が増します。ダイエット効果も高く、何より運動後の充実感は自己肯定感を高めます。 - 読書が人生を変える
静かな朝は、夜に読むのとは違い、新たなメッセージが目に飛び込んできます。読書を通じて新たな目標が見つかることもあります(著者も読書がきっかけでYouTubeを始めました)。 - 趣味を楽しむ
著者は動画編集という趣味にのめり込み、それがYoutuberとしての活動や本の出版につながりました。特別な目的がなくとも、好奇心を満たすだけで思いがけないチャンスに巡り合うことがあります。 - 早朝の勉強が持つ驚きのパワー
脳科学的にも、朝型人間は集中力や任務遂行力が高いとされています。資格取得や語学学習など、後回しにしていた勉強を始める絶好の時間です。
重要なのは、これらの活動を通じて「自分自身を最優先に置く」ことです。他人の顔色をうかがう必要のない時間に、自分の内面の声に集中することで、傷が癒され、少しずつ変化していく自分に出会えるのです。
人生を変えるのは「時間管理」ではなく「自己管理」
著者は「時間は管理できない」と断言します。時間ではなく、管理すべきは「自分自身」です。
私たちは「時間がない」と口にしがちですが、本当にそうでしょうか。
著者は、司法試験に一度落ち、働きながら再挑戦するという絶望的な状況に立たされます。残された勉強時間は、出勤前の3時間、昼休みの1時間、退勤後の4時間だけでした。
SNSをチェックする時間はあっても本を読む時間がないのなら、友達に会って他人の悪口を言う時間はあっても運動する時間がないのなら……時間が足りないのではない。それは、時間を作っていないだけだ。
彼女は、自分を管理し、隙間時間を徹底的に活用することで、見事ニューヨーク州とジョージア州の2州で司法試験に合格しました。
この経験からわかるように、人生を変えるのは「いつかやろう」という先延ばし癖の克服です。明け方起床は、この「自己管理」の習慣を身につけるための最強のトレーニングなのです。
まとめ:人生のボーナスタイムで「変化の種」を蒔こう
毎日が慌ただしく過ぎていくと感じているなら、それはあなたのせいではなく、日中の時間が「運命に任せる時間」になってしまっているからです。
本書『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』は、その流れを断ち切り、人生の主導権を取り戻すための具体的な処方箋を示してくれます。
週3回でも、いつもの1時間前でも構いません。
まずは「5秒ルール」でベッドから出てみませんか?
誰にも邪魔されない静かな明け方は、まさに「変化の種を蒔く時間」です。
その時間に自分と向き合い、小さな行動を積み重ねることが、昨日とは違う自分、そして想像もしなかった未来へとつながっていくはずです。







