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『お金2.0』から学ぶ新しい経済のルール|価値主義時代のビジネスパーソン必見の生き方・働き方

ヒガマツコ

本書『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』は、メタップス創業者である佐藤航陽氏が、自身の経験と深い洞察に基づき、テクノロジーによって激変する「お金」と「経済」の未来を解き明かした一冊です。

これまでの「お金」を中心とした資本主義が限界を迎え、個人の「価値」が新たな中心となる「価値主義」の時代が到来すると予測。Fintech、ブロックチェーン、シェアリングエコノミーといった最新トレンドの本質を解き明かし、それらが私たちの働き方や生き方をどのように変えていくのかを具体的に示します。

本記事では、この『お金2.0』のエッセンスを抽出し、忙しいビジネスパーソンが明日から実践できる思考法やキャリア戦略を、書籍内の事例を交えながら分かりやすく解説します。

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本書の要点

  • 資本主義の限界と「価値主義」の到来: お金を増やすこと自体が目的化した資本主義は限界に達しており、今後は「共感」や「信頼」といった個人の内面的な価値が経済を動かす「価値主義」へ移行する。
  • テクノロジーが経済を「分散化」する: ブロックチェーンなどの技術は、国家や企業といった中央集権的な仕組みを解体し、個人が主役となる「分散型」の経済システムを可能にする。
  • 経済システムは意図的に「創れる」: 経済は自然現象ではなく、インセンティブ設計によって創り出せる。成功するサービスや組織には、報酬・リアルタイム性・不確実性など5つの共通要素がある。
  • 「お金のため」から「価値を上げるため」の働き方へ: お金の価値が相対的に下がる未来では、給与の多寡で仕事を選ぶのではなく、自身のスキル・経験・人脈といった「価値」を高められる環境を選ぶことが重要になる。
  • 内面的な価値が経済を動かす: 「役に立つか」という実用的な価値だけでなく、「好き」「楽しい」といった熱量や共感が、SNSやトークンエコノミーを通じて大きな経済的価値を生み出す。

はじめに:なぜ今、「お金」のルールが変わるのか?

「人生って平等じゃないんだな」

著者である佐藤航陽氏は、幼少期の決して裕福とはいえない家庭環境の中で、生まれた家の「お金」の有無によって人生の選択肢が大きく左右される現実に直面し、強い憤りを感じたと言います。 この原体験が、彼を「お金とは何か?」「今の社会はベストなのか?」という根源的な問いへと駆り立て、本書を執筆する動機となりました。

多くのビジネスパーソンが日々向き合っている「お金」。私たちは仕事の大半を、このお金を稼ぐために費やしています。しかし、その「お金」や、お金が中心に据えられた「資本主義」という仕組みの本質を、私たちはどれだけ理解しているでしょうか?

著者は、現実世界を動かす力として「お金(経済)」「感情(人間)」「テクノロジー」という3つのベクトルを挙げています。 中でも最も強力なのが「お金」ですが、人の「感情」を無視した経済活動は長続きせず、また「テクノロジー」は常に社会を根底から変えるきっかけを作ってきました。

そして今、まさにテクノロジーの力によって、「お金」と「経済」のあり方が劇的に変わろうとしています。本書は、この変化の正体を解き明かし、私たちに新しい時代の羅針盤を示してくれる一冊です。

第1章 資本主義とお金の正体

お金が「主役」になった時代

そもそも「お金」は、物々交換の不便さを解消し、腐りやすい食料などの「価値」を保存・交換・測定するための便利な道具(ツール)として誕生しました。

しかし、産業革命以降、社会の仕組みが「身分」から「お金」中心へと移行する中で、その役割は大きく変わります。工場を建てるにも、労働者の生活を支えるにも「お金」が不可欠となり、お金は社会の主役、すなわち資本主義というシステムの根幹に位置づけられました。

いつしか、価値を生み出すための「手段」であったはずのお金は、それ自体を増やすことが「目的」へと変わっていきます。 特に、お金がお金を生み出す金融経済(資産経済)は肥大化し、今や世界で動くお金の9割近くを占めると言われています。私たちが日常で触れる実体経済(消費経済)とはかけ離れた場所で、お金が自己増殖を続けているのが現代の資本主義の姿なのです。

経済とは「欲望のネットワーク」である

著者は、自身の事業で得た膨大なデータを分析する中で、経済の正体を「欲望のネットワーク」であると見抜きました。

人間を動かす「本能的欲求」「金銭欲求」「承認欲求」といった欲望がネットワークを形成し、その上をお金が移動している、というのが経済の本質です。 そして、このような動的なネットワークには、必然的に2つの特徴が現れます。

  1. 極端な偏り(格差): 人気なものがさらに人気を集めるように、富は一部に集中します。これは、上位1%の富裕層が世界の富の約半分を所有するという現実にも表れています。
  2. 不安定性と不確実性: 全てが密接に繋がりすぎた結果、一部の些細な出来事が全体に影響を及ぼし、未来の予測が極めて困難になります。

この構造的な欠陥を理解せず、格差問題などを単なる「悪人」のせいにしても、根本的な解決には至りません。著者は、お金や経済を感情から切り離し、一つの「現象」として冷静に捉えることの重要性を説いています。

第2章 テクノロジーが経済をどう変えるか?

著者は、現在起きている変化の本質を「分散化」というキーワードで説明します。

これまでの社会は、政府や企業といった「中央」に権力や情報を集める「中央集権型」で成り立っていました。情報の非対称性を前提に、仲介者が価値を持つ構造です。

しかし、インターネットとスマートフォンの普及により、誰もが常時接続する「ネットワーク型」の社会へ移行しつつあります。この状況では、中央の仲介者は不要となり、権力は個々人へと「分散」していきます。これは、近代社会の前提を覆す、大きなパラダイムシフトなのです。

Fintech 2.0:金融の枠組みを再構築する動き

この「分散化」の流れを象徴するのが、Fintech2.0と呼ばれる動きです。

  • Fintech1.0: 既存の金融の枠組みを変えずに、ITで業務を効率化する動き(例:ロボアドバイザー、スマホ決済)。
  • Fintech2.0: 金融の枠組み自体をゼロから再構築する動き。その典型がビットコインです。

ビットコインは、国や企業のような中央管理者がいなくても成立する、完全に分散化された経済システムです。 既存の金融知識で理解しようとすると、「通貨の定義に当てはまらない」といった批判になりがちですが、それは野球のルールでサッカーを語るようなもの。全く別のルールで動く「鏡の世界」として捉える必要があるのです。

トークンエコノミー:個人が経済圏を作る時代

「分散化」をさらに推し進めるのが「トークンエコノミー」です。

これは、ブロックチェーン技術を活用し、個人や企業が「トークン」と呼ばれる独自の通貨を発行して、独自の経済圏を創り出す仕組みです。

国家が通貨発行権を独占していた時代は終わり、経済は「作る」対象へと変わりました。 例えば、以下のようなトークンが考えられます。

  • 通貨型トークン: 特定のサービス内で使える決済手段。楽天ポイントの変動相場制版と考えると分かりやすいでしょう。
  • 会員権型トークン: 保有している間、特別な優待を受けられる権利。アイドルのファンクラブやレストランの優待券のようなものです。
  • 配当型トークン: 事業収益の一部が分配される、株式に近い性質のトークン。

著者が立ち上げた「タイムバンク」もこの一種で、個人の「時間」をトークン化して売買することで、個人が主役となる新しい経済の形を実験しています。

第3章 新しい経済のルール「価値主義」

資本主義は、お金という「資本」を増やすことを至上命題としてきました。その結果、お金に換算できる「有用性としての価値(役に立つか?)」だけが評価され、それ以外の価値は無視されてきました。

しかし、テクノロジーの進化により、これまで可視化できなかった価値もデータとして扱えるようになり、資本主義は新しいステージへと移行します。それが著者の提唱する「価値主義」です。

価値主義では、以下の3つの価値がすべて経済の対象となります。

  1. 有用性としての価値: 儲かるか、役に立つか、といった実用的な価値。資本主義が扱ってきた領域。
  2. 内面的な価値: 愛情、共感、興奮、信頼など、個人の感情に結びつく価値。
  3. 社会的な価値: 社会全体の持続性を高める活動など、共同体にとっての価値。

資本主義が行き詰まったのは、①の価値を追求するあまり、②や③の価値を犠牲にしてきたからです。 価値主義は、テクノロジーの力で②と③の価値を経済システムに組み込み、資本主義の欠点を補完する、いわば資本主義のアップデート版なのです。

「評価経済」の可能性と落とし穴

内面的な価値が経済を動かす例として「評価経済」が挙げられます。SNSで多くのフォロワーを持つインフルエンサーが、その影響力(評価や注目)をテコにお金や機会を得る現象です。

しかし、著者は現在の評価経済に警鐘を鳴らします。なぜなら、そこで集められているのは真の「評価」や「信用」ではなく、単なる「注目」や「関心」に過ぎないケースが多いからです。 炎上商法のように、倫理観や他者への共感といった他の価値を犠牲にして「注目」を集める行為は、多くの人の違和感を呼び、長期的には支持を失います。

ある特定の価値が過剰に持ち上げられ、他の価値を毀損し始めると、社会はバランスを取るように揺り戻しが起こるのです。

第4章 「お金」から解放された働き方

価値主義の時代、私たちの働き方はどう変わるのでしょうか? 答えはシンプルで、「好きなことに熱中している人ほどうまく行きやすい」世の中に変わっていきます。

「儲かること」から「情熱を傾けられること」へ

従来の資本主義では、金銭的リターンを最優先に考えるのが合理的でした。しかし、内面的な価値が経済を動かす世界では、因果関係が逆転します。

自分が心から熱中していることに打ち込んでいると、結果として利益を得られる。逆に利益を最優先に行動すると利益を得るのは難しいということが起きます。

例えば、商業的成功のために歌う歌手と、音楽が好きで熱中して歌う歌手、人々が共感し、応援したくなるのは後者でしょう。SNSの普及により、人の「熱量」は瞬時に伝播し、共感や好意を集めます。そして、その内面的な価値が、ライブコマースでの爆発的な売上や、投げ銭といった新しい形でお金に変換されるのです。

この世界で重要なのは、独自性や個性です。誰かの真似ではなく、自分だけのスタイルを追求することが、熱狂的なファンを生み、代替不可能な価値となるのです。

キャリア戦略:「お金」ではなく「価値」を上げるために働く

これからの就職や転職は、「給与の高さ」や「会社の安定性」といった基準だけでは不十分になります。最も重要な問いは、「その会社を辞めた時、自分の価値は高まっているか?」です。

個人の価値には、スキルや経験といった「実用性」だけでなく、人脈や信頼といった「社会性」、そして共感や好意といった「内面性」も含まれます。これらの価値を高められる環境に身を置くことが、最高のキャリア戦略となります。

たとえ年収が高くても、数年後に機械に代替されるような仕事をしていては、あなたの価値は目減りしていきます。逆に、今は無名でも、独自のスキルが身についたり、貴重な人脈が築けたりする環境であれば、それは将来の大きな資産となるでしょう。

第5章 経済を「創る」思考法

価値主義の時代では、経済はただ参加するものではなく、自ら「創る」ものへと変わります。著者は、持続的に発展する「経済システム」には、成功する企業やサービス、組織に共通する5つの要素があると分析しています。

  1. インセンティブ(報酬): 参加者にとって明確なメリットがあるか? お金だけでなく、「認められたい(承認欲)」「モテたい」といった社会的欲求を満たす設計が重要。
  2. リアルタイム(変化): 状況が常に変化し、緊張感や熱量が高い状態が保たれているか?
  3. 不確実性(運と実力): 未来が予測できず、自分の努力で結果を変えられる要素があるか?
  4. ヒエラルキー(秩序): 自分の立ち位置がわかる指標(順位、レベルなど)が可視化されているか?
  5. コミュニケーション(交流): 参加者同士が交流し、共同体意識を持てる場があるか?

これらの要素は、人間の脳の快楽を司る「報酬系」の仕組みと深く結びついています。 私たちは、報酬が期待でき、予測不能な環境で、他者との比較や交流がある場合にドーパミンが分泌され、物事に熱中するようにできているのです。この脳の仕組みを理解し、応用することが、人を惹きつけるサービスや組織を創る鍵となります。

中国のスマホメーカー「小米(シャオミ)」は、この経済システムの考え方を巧みに取り入れ、熱狂的なファンによる「小米経済圏」を形成し、大成功を収めました。

まとめ:お金という道具を使いこなし、自分の価値を最大化しよう

『お金2.0』が示す未来は、これまでの常識が通用しない、大きく、そして刺激的な変化の時代です。

お金は、価値を測る唯一の絶対的な基準ではなく、数ある選択肢の一つになります。 私たちは、お金という存在に振り回されるのではなく、それを目的達成のための「ツール」として冷静に使いこなす必要があります。

そして、これからの時代を生き抜くために最も重要なのは、自分自身の「価値」と向き合い、それを高め続けることです。

  • あなたは何に情熱を感じますか?
  • あなたが持つ独自のスキルや経験は何ですか?
  • 今の仕事は、あなたの価値を高めてくれていますか?

資本主義から価値主義へ。この大きなパラダイムシフトの波に乗り遅れないために、本書は全てのビジネスパーソンにとって必読の一冊と言えるでしょう。まずは自分自身の「内面的な価値」に目を向け、情熱を傾けられることを見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。

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ブックロウ
王立図書館の司書
はじめまして、管理人の「ブックロウ」です。まるで物語に出てくるフクロウのように、夜な夜な本を読みふけるのが私のライフワーク。特に、仕事や人生のヒントが詰まったビジネス書・自己啓発書には目がありません。「本を読む時間はないけど、知識はアップデートしたい…」そんな悩めるあなたの為に、私が代わりに本を読み、明日からすぐ使える実践的なポイントや成功のエッセンスを分かりやすく解説します。千葉県東松戸のカフェでこのブログを書いていることが多いので、もし見かけたら気軽に声をかけてくださいね。皆さんの自己成長をサポートできることを、心から楽しみにしています。
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