健康・運動
PR

パレオダイエット完全ガイド:忙しいビジネスパーソンがリバウンドせずに健康と活力を手に入れる方法

ヒガマツコ

本記事では、鈴木祐氏の著書「【新装版】一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書」に基づき、日々の業務に追われる多忙なビジネスパーソンでも無理なく実践でき、かつリバウンドの心配がない画期的な健康法「パレオダイエット」について徹底解説します。パレオダイエットの核心である「食う・寝る・動く」という3つの基本要素を、現代の生活に取り入れやすい形で具体的に紹介。この記事を読めば、なぜ従来のダイエット法では失敗しがちなのか、そしてパレオダイエットがいかにして持続的な健康と活力、さらには強靭なメンタルをもたらすのかが明確に理解できるでしょう。科学的な知見と具体的な実践方法を組み合わせ、あなたのパフォーマンスを最大限に引き出すための一助となることを目指します。

目次
  1. 本書の要点
  2. なぜ現代の健康法はリバウンドしやすいのか?~狩猟採集民の知恵に学ぶ「パレオダイエット」とは~
  3. パレオダイエットの基本:「食う・寝る・動く」の改善
  4. 第1章:「食う」~何をどう食べるべきか?~
  5. 第2章:「寝る」~最高の睡眠を手に入れる~
  6. 第3章:「動く」~運動の本当の目的と実践法~
  7. まとめ:目的別・最低限実行すべきパレオダイエット
  8. おわりに:野生の体を取り戻し、最高のパフォーマンスを手に入れよう

本書の要点

  • 現代人の不調の原因: 私たちが抱える健康問題の多くは、人類が長年適応してきた原始時代のライフスタイルと、急激に変化した現代社会の生活様式との間に生じた「ミスマッチ」に起因しています。
  • パレオダイエットの基本: 「食う・寝る・動く」という人間の基本的な生活習慣を、狩猟採集民の生活様式に近づけることで、体に本来備わっている体重調整機能(セットポイント)を正常化し、無理なく自然に痩せやすく、健康的な体質へと導きます。
  • 食事の極意: 肥満や不調の大きな原因となる「加工食品」を極力減らし、野菜、肉、魚、フルーツといった自然に近い食材を積極的に摂取することが重要です。また、狩猟採集民の食習慣に倣った「プチ断食」も、体脂肪減少や若返り効果が期待できます。
  • 睡眠の質向上: 質の高い睡眠は、心身の健康維持に不可欠です。特に現代人が注意すべき「光のコントロール(ブルーライト対策)」、日中の適度な「運動量」、そしてストレスによって分泌される「コルチゾール」の管理が、快適な睡眠を得るための鍵となります。
  • 運動の真の目的: パレオダイエットにおける運動は、単に体重を減らすためだけのものではありません。「若返り効果の促進」「メンタルヘルスの改善」「脳機能の向上」といった、より本質的なメリットを追求します。日常生活における活動量(NEAT)を意識的に増やし、短時間で効果の高い「HIIT」や「パレオ式筋トレ」を取り入れることが推奨されます。

なぜ現代の健康法はリバウンドしやすいのか?~狩猟採集民の知恵に学ぶ「パレオダイエット」とは~

「ダイエットをしても、結局リバウンドしてしまう…」「最近どうも疲れやすいし、集中力も続かない…」多忙なビジネスパーソンの中には、こうした悩みを抱えている方も少なくないのではないでしょうか。多くの時間と費用を投じて様々な健康法やダイエット法を試しても、一時的な効果しか得られず、かえって体調を崩してしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

本書の著者であるYu Suzuki氏も、かつては体脂肪率35%を超える肥満と虚弱体質に悩まされ、様々なダイエット法に挑戦しては挫折を繰り返していました。その経験から彼がたどり着いたのが、「本当に必要なのは、死ぬまで使える一生モノの健康法だ」 という結論でした。そして、その答えこそが「パレオダイエット」だったのです。

パレオダイエットとは何か?

パレオダイエットの「パレオ」とは、「旧石器時代(Paleolithic)」を意味します。つまり、パレオダイエットとは、約260万年前から約1万年前まで続いた旧石器時代の人類(狩猟採集民)のライフスタイルに学び、現代の生活に取り入れる健康法 です。

人類の歴史の99%以上は狩猟採集生活であり、私たちの遺伝子や体の基本的な仕組みは、その時代の環境に適応するように進化してきました。農耕が始まり、現代のような加工食品やファストフードが普及したのは、人類の長い歴史から見ればごく最近のこと。この急激な環境の変化に私たちの体が対応しきれず、様々な不調(肥満、生活習慣病、アレルギー、メンタルの問題など)が生じているとパレオダイエットでは考えます。

実際に、現代でも狩猟採集に近い生活を送る民族(タンザニアのハッツァ族やパプアニューギニアのキタバ族など)を調査すると、彼らには肥満はもちろん、がんや糖尿病、うつ病といった現代病がほとんど見られないことが分かっています。彼らはカロリー計算をしたり、ジムに通ったりすることなく、自然と健康的な肉体と精神を維持しているのです。

パレオダイエットは、この狩猟採集民の知恵を借り、現代社会で失われた「野生の体力」を取り戻すこと を目指します。決して原始時代に戻ろうというわけではなく、彼らの生活の良いところを現代のライフスタイルに賢く取り入れることで、心身の健康を最適化しようというアプローチです。

科学的にも支持されるパレオダイエット

パレオダイエットは、単なる思いつきや流行のダイエット法ではありません。近年、その効果は科学的にも検証されつつあります。

例えば、2015年にコクラン共同計画が行ったメタ分析(複数の研究データを統合して分析する手法)では、パレオダイエットが、従来の伝統的な健康法(全粒粉のシリアル、低脂肪乳製品、脂肪制限など)と比較して、ウエストサイズ、高血圧、中性脂肪を減らす効果が高い ことが示されました。

また、オーストラリアのメルボルン大学が行った研究では、太りぎみの50代男性にアボリジニの伝統的な食生活を7週間続けてもらったところ、平均8kgの減量に成功し、中性脂肪やコレステロール値も大幅に改善、中には糖尿病がほぼ完治した人もいたと報告されています。

逆に、南アフリカで伝統的な生活を送る人々に、2週間アメリカ人の平均的な食事(ピザやハンバーガーなど)をしてもらった実験では、急激に全身の老化が進行し、大腸がんの発症リスクも激増 したという結果も出ています。

これらの研究結果は、私たちの体が本来どのような食事や生活様式に適応しているのか、そして現代の食生活がいかに体に負担をかけているのかを浮き彫りにしています。

パレオダイエットの基本:「食う・寝る・動く」の改善

パレオダイエットの基本的な考え方は非常にシンプルです。それは、「食う(食事)」「寝る(睡眠)」「動く(運動)」という人間にとって最も基本的な3つの要素を、狩猟採集民のライフスタイルにできるだけ近づけていくこと

もちろん、現代社会で狩猟採集民と全く同じ生活を送ることは不可能です。しかし、彼らの生活のポイントを理解し、できる範囲で取り入れるだけでも、私たちの心身には劇的な変化が期待できます。

  • 【食う】: できるだけ自然に近い肉や野菜、フルーツを食べる。人工的に加工された食品は極力避ける。狩猟採集民は朝食を摂らないことも多く、空腹時間が長い傾向がある。
  • 【寝る】: 朝は決まった時間に起き、夜は人工の光がない暗い環境で眠る。自然の音に囲まれて眠るのが理想。
  • 【動く】: 意識的なエクササイズというよりは、日々の活動の中で自然と体を動かす。木の実を探して歩き回ったり、獲物を運ぶために定期的に筋肉を使ったりする。

これらの要素を現代の生活にどのように落とし込んでいけば良いのか、次の章から具体的に見ていきましょう。

第1章:「食う」~何をどう食べるべきか?~

パレオダイエットにおいて、最も重要な要素の一つが「食事」です。現代人の多くが抱える健康問題は、食生活の乱れと深く結びついています。

短期的なダイエットは意味がない理由

世の中には、「○○制限ダイエット」や「○○だけ食べるダイエット」など、様々なダイエット法が溢れています。これらの多くは短期的な体重減少を謳っていますが、著者は「短期で終わるダイエットに意味はない」と断言します。

2014年のカナダの研究チームによる大規模なリサーチでは、低脂肪食、カロリー制限、高タンパク食など11種類のダイエット法を比較した結果、「結局はカロリーが大事なので、どんなダイエット法でも1年続ければ効果は同じ」 という結論に至りました。つまり、魔法のようなダイエット法は存在せず、どんな方法であれ継続しなければ意味がないのです。

体が新しい体重に適応するには、少なくとも1年はかかると言われています。その前にダイエットをやめてしまえば、高確率でリバウンドし、何度も苦しい減量を繰り返すことになります。本当に優れたダイエット法とは、「自分でも気づかないうちに、自然と痩せるまで続けられること」。この条件を満たさない方法は、いくら短期的に効果があっても「一生モノのダイエット法」にはなり得ません。

人間の体は本来太らないようにできている:「セットポイント理論」

狩猟採集民はカロリー計算などせず、お腹いっぱい食べても太っていません。これは、「本来の人間の体は、生まれつき太らないようにできている」 からだと考えられています。

私たちの体には、最適な体重を自動で調整する「セットポイント」という仕組みが備わっています。これは、主に「レプチン」というホルモンによってコントロールされています。レプチンは脳に作用して食欲を減らす働きがあり、

  • 食べる量を増やすと、空腹感が減り、体脂肪が燃えやすくなる
  • 食べる量を減らすと、空腹感が増え、体脂肪が燃えにくくなる

というように、体重を一定に保とうとします。狩猟採集民が太らないのは、このセットポイントが正常に働いているからです。

しかし、現代人の場合、このセットポイントが狂ってしまうことがあります。これを「レプチン抵抗性」と呼び、脳がレプチンの指示に反応しなくなる状態です。いくら食べても満腹感が得られず、代謝も低下して体脂肪が燃えにくくなるため、肥満へとつながってしまうのです。

肥満の最大の原因は「加工食品」

では、なぜ現代人のセットポイントは狂ってしまうのでしょうか?その最大の原因は、ズバリ「加工食品」 です。冷凍食品、コンビニ弁当、スナック菓子、ファストフードなど、私たちの身の回りには加工食品が溢れています。

これらの加工食品は、消費者の食欲を刺激し、中毒性を高めるように巧妙に設計されています。「砂糖」「脂肪」「塩分」を絶妙なバランスで組み合わせることで、私たちの脳を過剰に興奮させ、セットポイントを狂わせてしまうのです。

食品メーカーの内部事情に詳しいジャーナリスト、マイケル・モス氏によれば、加工食品メーカーの重役の多くは、自社製品を避ける食生活を心がけていると言います。このことからも、加工食品が私たちの体に与える影響の大きさが伺えます。

加工食品を減らすだけで体脂肪は減る

セットポイントを正常に戻す最も効果的な方法は、加工食品の摂取を減らすこと です。これにより、過剰な食欲が抑えられ、体は自然とスリムな状態へと向かいます。

多くの研究がこれを裏付けており、例えば、肥満ぎみの男女に加工食品を徹底的に控える生活をしてもらった実験では、自然と1日の摂取カロリーが減少し、3週間で2.5kgもの体脂肪が減少した という結果が得られています。参加者は空腹を感じることなく、気づいたら体脂肪が減っていたというのがポイントです。

どこまでが加工食品?具体的な線引き

「加工食品を減らそう」と言われても、具体的に何を避ければ良いのか迷うかもしれません。基本的なルールは、「原材料がどんな形をしていたのかわからない商品はひかえる」 ことです。ケーキ、ポテトチップス、カップ麺、多くの冷凍食品やファストフードがこれに該当します。

逆に、コンビニで手に入るものでも、鮭の切り身、味付けゆで卵、冷凍野菜、フルーツ、サラダなどは、原材料が比較的明らかなため、OKとされる場合が多いです。

さらに厳密に管理したい場合は、食品の成分表をチェックし、「植物油脂」「砂糖(果糖ブドウ糖液糖など)」「精製穀物(小麦粉など)」「食品添加物」「人工甘味料」 が多く含まれるものや、「低脂肪」 を謳った加工食品(砂糖や添加物が多い場合がある)を避けると良いでしょう。

ただし、パレオダイエットで加工食品を避けるのは、あくまで食べ過ぎを防ぎ、セットポイントを正常化するためです。加工食品そのものが絶対的な悪というわけではなく、完全に排除することがストレスになる場合は、「全体の食事量の2割まで」といったルールを設けて、上手に付き合っていくことも可能です。

自然な食事パターン「プチ断食」のススメとその効果

狩猟採集民の食生活を参考にすると、彼らは1日3食きっちり食べるというよりは、空腹の時間が長い傾向にあります。朝食を摂らずに狩りに出かけ、昼過ぎに最初の食事を摂り、夜までに必要な量を食べ、また翌日の昼まで何も口にしない、といったパターンです。

このような食習慣を現代に取り入れたものが「プチ断食」です。パレオダイエットで推奨されるプチ断食は、最短で8時間、最長でも24時間程度の断食 を行います。例えば、著者であるYu Suzuki氏の場合は、以下のような食事パターンを実践しています。

  • 7時に起床し、朝食は抜いて13時までお茶かコーヒーのみ
  • 13時~16時の間に900~1000kcalの食事
  • 18時~21時の間に900~1000kcalの食事
  • 0時に就寝

この場合、21時から翌13時までの16時間が断食時間となります。プチ断食には、以下のようなメリットが期待できます。

  • 体脂肪の減少スピードが上がる: 通常のカロリー制限よりも食欲を抑える効果が高く、週に2回程度の実践でも効果が見込めます。
  • 細胞から体を若返らせる: プチ断食は、細胞内の不要なタンパク質などを分解・リサイクルする「オートファジー」という仕組みを活性化させます。これにより、細胞レベルでの若返り効果が期待できるのです。

プチ断食にはいくつかの方法がありますが(後述)、まずは無理のない範囲で試してみるのが良いでしょう。

パレオダイエット的食材選びの極意:「原始人も食べていたか?」

体に良い食品を選ぶ基準もシンプルです。それは、「これって原始人も食べていたかな?」と想像してみること。原始人がファストフードや砂糖、缶詰を食べている姿は想像できませんよね?もし想像できなければ、それはパレオダイエットでは推奨されない食品である可能性が高いです。

より身近な基準としては、「いま100歳のお婆ちゃんが、10代の頃に食べていたか?」 と考えてみるのも良いでしょう。この基準で考えると、例えば全乳で作った牛乳はOKですが、低脂肪に加工された牛乳はNGとなります。

食材ベスト番付(タンパク質、脂質、炭水化物)

パレオダイエットで推奨される具体的な食材を、栄養素別に見ていきましょう。

  • タンパク質のベスト番付:
    • 横綱: 天然魚、貝類(オメガ3脂肪酸が豊富)
    • 大関: 牧草飼育の牛・羊・ヤギなどの肉
    • 関脇: 地鶏、放牧豚
    • 小結: 卵、養殖魚
    • 前頭: 穀物飼育の牛・羊・ヤギ肉、穀物飼育の豚肉、全乳
    • 幕下: 加工肉(ソーセージ、ハムなど。発がんリスクが指摘されており、極力避ける)
      魚介類は週に100~200gを目安に。卵はコレステロールを気にする必要はあまりなく、1日に数個食べても問題ないとされています。
  • 油のベスト番付: 脂質はホルモンの材料となるため、適量摂ることが重要です。
    • 横綱: ココナツオイル、MCTオイル、パーム核油(炎症を抑える作用も)
    • 大関: 放牧牛の牛脂、オーガニックバター、ギー
    • 関脇: マカダミアナッツオイル、エキストラヴァージンオリーブオイル
    • 小結: アボカドオイル、亜麻仁油(加熱せずドレッシングなどに)
    • 幕下: キャノーラ油、サフラワー油、大豆油、コーン油(オメガ6が多く、炎症を引き起こしやすいので避ける)
      料理用に使うのが基本で、わざわざ油を飲む必要はありません。
  • 炭水化物のベスト番付: 炭水化物も体に必要な栄養素です。狩猟採集民も総カロリーの2割以上は炭水化物から摂取しています。
    • 横綱: すべての葉物野菜(ほうれん草、ブロッコリー、キャベツなど。カロリーを気にせずたっぷり食べる)
    • 大関: サツマイモ、じゃがいも、カボチャなどのイモ類・根菜類(ビタミン・栄養豊富)
    • 関脇: ニンジン、タマネギ、レンコンなどの高糖質な野菜
    • 小結: ベリー類などのフルーツ全般(食物繊維・ポリフェノール豊富)
    • 前頭: 全粒粉パン・パスタ、玄米、白米、そば、ナッツ類、豆類(摂りすぎに注意)
    • 幕下: 菓子類、市販のパン、スナック類(極力避ける)
      野菜とイモ類、フルーツを中心に摂取し、精製された穀物や砂糖は控えるのがポイントです。

パレオ式・お酒との付き合い方

パレオダイエットでは、基本的にアルコールは推奨されていません。人類がアルコールを摂取し始めたのは比較的最近であり、遺伝子がまだ十分に適応できていないと考えられるためです。また、「適量の酒は体に良い」という説にも近年疑問が呈されています。

しかし、社会人にとって完全な禁酒は難しい場合もあるでしょう。そこで、アルコールの害を最小限に抑える飲み方を紹介します。

  • 体へのダメージが少ない酒のランキング:
    • 横綱: 赤ワイン(ポリフェノールが豊富でカロリーも比較的少ない)
    • 大関: ブランデー、ウイスキー、ハイボールなど(抗酸化物質が豊富)
    • 関脇: 白ワイン、ビール、日本酒(糖質が高めなのが難点)
    • 幕下: カクテル、チューハイ、サワー(栄養が少なくカロリーが高いものが多いので注意)
  • 飲み方のポイント:
    • 酒と加工食品を一緒に摂らない: 特にオメガ6脂肪酸(加工食品に多い)とアルコールを同時に摂取すると、メタボや脂肪肝のリスクが激増する可能性があります。揚げ物などをつまみにするのは避けましょう。
    • 飽和脂肪酸を多めに摂る: 乳製品や肉の脂身に多い飽和脂肪酸には、アルコールの肝臓へのダメージを和らげる作用が確認されています。赤ワインにチーズや肉を合わせるのは理にかなっています。
    • 最終的には1日2杯までが理想: これを超えると体へのダメージが増える傾向があります。

実践!パレオレシピ例(忙しいビジネスパーソンでも作れるもの)

本書では様々なパレオレシピが紹介されていますが、ここでは忙しいビジネスパーソンでも比較的簡単に取り入れられそうなものをいくつか紹介します。

  • ボーンブロス: 牛骨や鶏ガラを煮込んだスープ。必須アミノ酸が豊富で免疫力アップや消化能力改善が期待できます。作り置きしておくと便利です。
  • サツマイモのフリッタータ: ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富なサツマイモと、良質なタンパク質・脂質を含む卵を組み合わせた、ほぼ完璧なパレオ食。
  • ほうれん草とベリーのサラダ: 抗酸化物質が豊富なベリー類とほうれん草を使ったサラダ。ドレッシングはオリーブオイルとビネガーで自作するのがおすすめです。
  • パレオマヨ: 通常のマヨネーズは大豆油などが使われているため、ココナツオイルと卵黄などで手作りします。生野菜につけて食べると良いでしょう。
  • ホームメイドララバー: ナッツ類とデーツ、ドライフルーツをフードプロセッサーで混ぜて固めたもの。小腹が空いた時のヘルシーなスナックになります。

第2章:「寝る」~最高の睡眠を手に入れる~

食事と並んで重要なのが「睡眠」です。睡眠不足は、集中力の低下、判断力の鈍化、気分の落ち込み、免疫力の低下など、ビジネスパーソンのパフォーマンスに深刻な影響を与えます。

睡眠不足がビジネスパーソンにもたらす多大な損失

  • 寿命が縮む: 平均睡眠時間が6時間以下の人は、乳がんの発症率が上がったり、心疾患のリスクが高まったりするという研究結果があります。
  • 肌が衰える: 睡眠不足は肌トラブルを招き、見た目の老化を早めます。
  • 太りやすくなる: 睡眠不足は食欲をコントロールするホルモンのバランスを崩し、肥満の原因となります。
  • 仕事のプレッシャーに弱くなる: 睡眠の質が悪いほど幸福感が減り、ストレスに弱くなる傾向があります。
  • 貯金が少なくなる: 睡眠不足は経済感覚を狂わせ、リスクの高い投資やギャンブルに手を出しやすくなるという研究もあります。

狩猟採集民は、平均睡眠時間が5.7~7.1時間と現代人より短いにもかかわらず、寝つきが悪かったり、朝スッキリ起きられないといった問題はほとんどないと言われています。彼らの睡眠の質が高い秘訣はどこにあるのでしょうか?

睡眠の質を左右する4つの要素

現代人が質の高い睡眠を得るためには、以下の4つの要素を意識的にコントロールする必要があります。

  1. 光のコントロール
  2. 日中の運動量
  3. ストレスホルモン
  4. 睡眠環境

光を制する者は睡眠を制する:ブルーライト対策

人間の体には、自然光に反応して睡眠をコントロールする「体内時計」が備わっています。しかし、夜でも明るい人工照明、特にテレビやスマートフォン、パソコンなどから発せられる「ブルーライト」は、この体内時計を狂わせる大きな原因となります。

ブルーライトは、脳に「まだ昼間だ」と錯覚させ、睡眠に必要なホルモンである「メラトニン」の分泌を抑制してしまいます。

  • 対策:
    • 夜間のブルーライトを避ける: 就寝前の数時間は、スマホやPCの使用を控えるか、ブルーライトカット機能(iPhoneのNight Shiftモード、Androidアプリ、PCソフトf.luxなど)を利用しましょう。
    • オレンジ色のサングラス: ブルーライトカット効果の高いオレンジ色のレンズのサングラスを、就寝数時間前から着用するのも効果的です。
    • 寝室の照明: 暖色系の電球に変えたり、照度を落としたりする。遮光カーテンで外部からの光を遮断するのも重要です。
    • 日中は太陽光を浴びる: 逆に、日中に適度な太陽光を浴びることは、体内時計を正常に保つために必要です。

睡眠改善のための最低限の運動

適度な運動は、睡眠の質を高めるのに役立ちます。研究によれば、週に150分程度のウォーキングや軽いジョギング で、睡眠の質が大幅に改善し、日中の疲労感や眠気も軽減されるとのこと。

ただし、就寝前の3時間以内に激しい運動をすると、逆に睡眠の質を下げる 可能性があるので注意が必要です。1日30分程度のウォーキングを目標に、無理なく継続できる運動習慣を身につけましょう。

ストレスホルモン「コルチゾール」をコントロールする

ストレスを感じると、体内で「コルチゾール」というホルモンが分泌され、脳を覚醒させます。慢性的なストレスはコルチゾールの過剰分泌を招き、不眠の原因となります。

  • 対策:
    • 健康的な脂肪を摂る: オメガ6脂肪酸やトランス脂肪酸の多い食事は体内の炎症レベルを上げ、コルチゾール分泌を促します。良質な脂質(オメガ3脂肪酸、ココナツオイルなど)を摂取しましょう。
    • 寝る前に適度な炭水化物を摂る: 極端な糖質制限はコルチゾールを増やす可能性があります。寝る4~5時間前に、サツマイモなどの良質な炭水化物を適量摂ると、眠りが深くなるという研究結果があります。
    • 呼吸法: 深呼吸はストレスレベルを下げる効果があります。「478呼吸法(4秒吸って7秒止め8秒で吐く)」などを就寝前に試してみましょう。
    • 瞑想: 瞑想もストレス軽減に効果的です。

睡眠環境の整え方(室温、騒音、寝具など)

快適な睡眠のためには、寝室の環境も重要です。

  • 室温: 15.5~20℃程度が理想とされています。
  • 入浴: 就寝前に40℃くらいのぬるめのお湯に5~15分浸かるか、シャワーを浴びると、体温が下がる過程で眠気を誘いやすくなります。
  • 騒音: 40デシベル以下(図書館よりも静かなレベル)を目指しましょう。ホワイトノイズアプリや環境音アプリを利用するのも良い方法です。
  • 寝具: 自分に合った寝具を選ぶことも大切ですが、狩猟採集民は比較的硬い寝床で寝ていたようです。

最終兵器「睡眠制限法」とは?

何を試しても睡眠が改善しない場合の最終手段として、「睡眠制限法」があります。これは、あえて睡眠時間を短縮することで体内時計をリセットし、睡眠の質を高める テクニックです。睡眠薬よりも効果があるという研究結果もあります。

  1. 自分の平均睡眠時間を把握する: 「ベッドにいる時間」ではなく、「実際に眠った時間」を記録します。
  2. ベッドに入る時間を決める: 平均睡眠時間と起床時間から逆算して就寝時間を設定します(ただし、最低でも4時間半は確保する)。
  3. 決めた就寝時間を厳守する: 就寝時間になるまで寝室に入らないようにします。
  4. 睡眠の質が高まるのを待つ: 数日から数週間で、寝つきが良くなるなど変化が現れます。
  5. 少しずつ睡眠時間を増やす: 昼間に眠気を感じるようになったら、就寝時間を15分ずつ早めていきます。

このサイクルを繰り返し、日中の眠気がなくなるまで調整します。

睡眠に効くサプリメント(必要な場合)

基本的には食事や生活習慣の改善で対応するのが理想ですが、必要に応じてサプリメントの利用も検討できます。

  • マグネシウム: 不足すると睡眠の質が悪化します。クエン酸マグネシウムを1日200~400mg摂取。
  • メラトニン: 体内時計を調節するホルモン。就寝30~60分前に0.5mgから試す(日本では医師の処方が必要、または個人輸入)。
  • ラベンダー系サプリ: 不安や心配で眠れない場合に。神経の高ぶりを鎮める効果があります。
  • レモンバーム: 高い鎮静作用を持つハーブ。
  • グリシン: アミノ酸の一種で、睡眠の質を高める働きがあります。
  • バレリアン・ルート: ストレス解消に使われるハーブで、快眠感をアップさせる効果があります。

第3章:「動く」~運動の本当の目的と実践法~

パレオダイエットの最後の柱は「運動」です。狩猟採集民は、生きるために日常的に体を動かしていました。現代人も、体を動かさないとうまく機能しないようにできています。

「痩せるための運動」は間違い?運動の真の目的とは

多くの人が運動をする目的として「痩せること」を挙げますが、著者は「痩せるために運動をしてはいけない」 と指摘します。なぜなら、運動だけで消費できるカロリーは全体の30%にも満たず、食事改善なしに体脂肪を減らすのは非常に難しいからです。ハードな運動を長期間続けても、体脂肪の減少はわずかであるという研究結果も多数あります。

では、パレオダイエットにおける運動の目的は何なのでしょうか?それは以下の3つです。

  1. 若返り: 適度な運動は早期死亡リスクを下げ、見た目も若々しく保ちます。1日15分のウォーキングでも効果があります。
  2. メンタルの改善: 運動はうつや不安を軽減し、活力や幸福感を高めます。1日20~30分の早歩きでも効果が期待できます。
  3. 頭を良くする: 運動は脳機能を向上させます。1日10分の軽い運動でも、脳の「実行機能(判断力や意思決定能力)」が高まることがわかっています。

日常活動「NEAT」を増やして野生の体力を取り戻す

運動経験がない人が最初に取り組むべきは、「NEAT(Non-Exercise Activity Thermogenesis:非運動性活動熱産生)」 を増やすことです。NEATとは、ジムでの運動やランニングなど意図的な運動以外の、日常生活における活動(掃除、洗濯、買い物、階段の上り下り、貧乏ゆすりなど)で消費されるカロリーのことです。

研究によれば、NEATを増やすだけでも、週3回のジム通いと同程度の運動量になる 可能性があります。エレベーターの代わりに階段を使う、一駅手前で降りて歩くなど、日常の中で意識的に体を動かす機会を増やすことが重要です。

体脂肪率に応じて、NEATを増やす目標を設定します。

  • レベル1(体脂肪率が男性35%以上、女性40%以上): 30~60分おきに立ち上がって15分の散歩、1日8000歩を目指す。
  • レベル2(体脂肪率が男性25%前後、女性30%前後): デスク下にステッパーを置くかスタンディングデスク導入、1日1時間は立つ、1日10000歩を目指す、週1回16分のHIIT。
  • レベル3(体脂肪率が男性15%前後、女性24%前後): スタンディングデスクかトレッドミルデスク導入、ウォーキング1~2時間、1日12000歩、HIIT+パレオ式筋トレ。
  • レベル4(体脂肪率が男性12%前後、女性20%前後): トレッドミルデスク推奨、ウォーキング1~2時間、1日15000歩、パレオ式筋トレ週3回、HIIT週2回。
  • レベル5(体脂肪率が男性10%以下、女性17%以下): 現状維持でOK。

スタンディングデスクのススメとその効果

デスクワーク中心のビジネスパーソンにとって、座りっぱなしの時間は健康上の大きなリスクとなります。イギリス公衆衛生サービスは「オフィスワーカーは最低でも1日に2時間はイスから立つように」と勧告しています。

そこでおすすめなのが「スタンディングデスク」 です。立ったまま作業をすることで、座りすぎによる弊害を軽減し、以下のようなメリットが期待できます。

  • 集中力の持続
  • 作業速度の向上
  • 午後の眠気の解消
  • 肩こりの改善
  • 脳機能の向上(IQが上がったという著者の体験談も)

最初はきつく感じるかもしれませんが、1週間程度で慣れることが多いようです。30分おきに姿勢を変えたり、座る時間と組み合わせたりしながら、無理なく導入しましょう。

究極のエクササイズ「HIIT」とは?その驚くべきメリット

さらにアクティブな体を目指すなら、「HIIT(High-Intensity Interval Training:高強度インターバルトレーニング)」 がおすすめです。これは、短時間だけ非常にハードな運動と短い休息を繰り返すトレーニング法です。狩猟採集民が時折行っていた、猛獣から逃げる、仲間と競争するといった高強度の活動を現代的に再現したものです。

例:30秒全力ダッシュ→10秒休息→これを数回繰り返す。1セット平均4分程度。

  • HIITのメリット:
    • 短時間で効果絶大: 週に合計16分程度でも、体脂肪燃焼能力の向上や基礎代謝アップが期待できます。
    • 空腹感を抑制: 脳の報酬系に作用し、食欲を抑える効果があります。
    • 寿命を延ばす: 心肺機能を効率よく向上させ、糖代謝を改善します。
    • アンチエイジング効果: 体内の炎症を抑え、細胞レベルで体を若返らせます。
  • HIITのポイント:
    • 運動と休憩のバランスは「2:1」が基本(例:20秒運動なら10秒休憩)。
    • 「もう1ミリも動けない!」というレベルまで自分を追い込む。
    • 休憩中も完全に動きを止めず、軽い足踏みなどを続ける。
    • 定期的に強度を上げていく。
    • 専用のタイマーアプリを使うと便利。

週12分でOK!パレオ式筋トレ(5種目)

より引き締まった体や疲れにくい肉体を目指すなら、「パレオ式筋トレ」 を取り入れましょう。狩猟採集民が獲物を運んだり、木に登ったりする動きを参考にした、以下の5種目だけで全身を効率よく鍛えることができます。

  1. スクワット
  2. プッシュアップ(腕立て伏せ)
  3. ダンベルロウ(ダンベルを使ったローイング)
  4. リバースランジ
  5. オーバーヘッドプレス(ダンベルなどを頭上に持ち上げる)

驚くべきことに、週に合計12分程度の筋トレでも十分に筋肉は発達する という研究結果があります。各メニューを1セット8~12回で限界がくる程度の負荷で行い、1~3セット、セット間休憩1~2分を目安に行います。「もう1ミリも体を動かせない!」というレベルまで筋肉を追い込むことが重要です。

まとめ:目的別・最低限実行すべきパレオダイエット

本書で紹介されたパレオダイエットのメソッドは多岐にわたりますが、すべてを完璧にこなす必要はありません。自分の目標に合わせて、無理のない範囲で取り入れていくことが成功の秘訣です。

  • ①本格的に体質改善を目指す場合(アレルギー、慢性疲労など):
    • 食う: 最初の1ヶ月は加工食品、乳製品、卵、豆類、小麦類、ナス科野菜を完全にカット。その後はセットポイント修正プログラムの「レベル5」以上を実践。プチ断食はレベル1「お腹が空いてないときは食べない」でOK。
    • 寝る: 本書で紹介された快眠テクニックを積極的に活用。
    • 動く: ハードな運動は避け、1日8000歩を目安に歩く。
  • ②見た目を引き締めたい場合:
    • 食う: セットポイント修正プログラムの「レベル4」以上。プチ断食はレベル3「8時間ダイエット」などを組み合わせる。
    • 寝る: ストレス対策を中心に、質の高い睡眠を確保。
    • 動く: NEATの増やし方「レベル4」以上。体力に余裕があればHIITやパレオ式筋トレも。
  • ③健康な生活をキープしたい場合(生活習慣病予防など):
    • 食う: セットポイント修正プログラムの「レベル3」以上。プチ断食はレベル1「お腹が空いてないときは食べない」を心がける。
    • 寝る: 就寝1時間前のスマホ・PCオフ、1日30分のウォーキングは最低限行う。
    • 動く: NEATの増やし方「レベル1」以上。体力向上を目指すなら週1回のHIIT。

おわりに:野生の体を取り戻し、最高のパフォーマンスを手に入れよう

パレオダイエットは、現代社会の矛盾の中で私たちが失ってしまった「野生の体」を取り戻し、本来持つポテンシャルを最大限に引き出すための科学的な方法論です。

本書のメソッドをすべて完璧にこなす必要はありません。全体の約7割をクリアするだけでも、十分に健康的で活力に満ちた肉体を手に入れることができるでしょう。焦らず、自分の心と体の変化を楽しみながら、ゲーム感覚で取り組んでみてください。

そして、もし実践する中で壁にぶつかったり、迷ったりしたときは、「古代の環境ではどうだったのだろう?」「狩猟採集民だったらどうしていただろう?」と、パレオダイエットの基本に立ち返ってみることが、きっと解決の糸口を見つける助けとなるはずです。

本の魅力をみんなでシェアしよう!
ビジネス本のオプチャ

ビジネス書や自己啓発本に関する情報、学んだ知識や日々の気づきをみんなで共有するオープンチャットです。新しい視点やアイデアを取り入れながら、仕事やキャリアアップに活かせる学びを深めましょう。見るだけでも・初めての方でも大歓迎です!

気軽に参加ください!
ABOUT ME
ヒガマツコ
ヒガマツコ
管理人
地元・千葉県東松戸に住み、東松戸をこよなく愛するヒガマツコが運営するサイト「ヒガマツBooks」では、ビジネス書や自己啓発書を中心に書籍の要点を効率的に紹介しています。学生時代から読書に親しみ、短時間で要点をつかむスキルを磨いてきました。このブログでは、ビジネスや自己成長に役立つ本の重要なエッセンスを凝縮し、実践的なヒントや成功事例とともにわかりやすく解説。忙しい毎日でも効率よく学べるよう工夫した要約記事を日々更新しています。私のミッションは「本から得られる知識を通じて、より良い人生と成功をサポートすること」。趣味は飲食店巡りと運動で、新たな知識や視点を取り入れるのがモットー。今後は動画やSNSとも連携し、多くの方に読書の楽しさとビジネススキル向上の機会を届けるべく、日々新たな挑戦を続けています。
記事URLをコピーしました