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苫米地英人『金持ち脳』要約|「お金が欲しい」は洗脳だった?貧乏脳を捨てて本当の豊かさを手に入れる方法

ヒガマツコ

著者: 苫米地英人  要約: YouTube

本書は、認知科学者の苫米地英人氏が、「金持ち脳」と「貧乏脳」という概念を用いて、現代社会に蔓延するお金に関する思い込みや洗脳を解き明かす一冊です。

私たちが抱く「お金持ちになりたい」という切実な願いは、実は国家やメディアによって巧みに植え付けられた「経済洗脳」であると喝破します。この洗脳から逃れ、 支出を徹底的にコントロールし、世の中のカラクリを見抜く論理脳を鍛え、そして何よりも「好きなこと」を仕事にして圧倒的な付加価値を生み出すこと こそが、本当の意味で豊かになるための道であると説いています。

この記事では、本書のエッセンスを抽出し、忙しいビジネスパーソンが日々の生活や仕事に活かせるよう、具体的な事例を交えながら分かりやすく解説していきます。

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本書の要点

  • 「金持ちになりたい」という願望は、消費を煽り税収を確保したい国家やメディアによる「経済洗脳」であり、恐怖を利用した「悪い洗脳」である。
  • 本当の金持ちとは資産額ではなく、支出を収入以下にコントロールし、お金に困らない精神状態にある人を指す。欲望が増えれば増えるほど、人は本質的に貧しくなる。
  • 貧乏脳から脱するには、欲望を際限なく増幅させるテレビを消し、買い物では「機能」のみを追求するなど、支出を自らの意思で制御することが最も効果的である。
  • 真の豊かさの源泉は、新たな「付加価値」を生み出すことにある。そのための王道は、自分が本当にやりたいこと(天職)を仕事にし、圧倒的な生産性を発揮することだ。
  • 自己評価(エフィカシー)を高めることが重要であり、報酬の多寡で自分の価値を決めてはならない。「報酬の限界」と「自分の限界」は全くの別物である。

はじめに:なぜ、私たちはこれほど「お金」に縛られるのか?

「もっとお金があれば、幸せになれるのに…」
「将来のために、なんとかしてお金を貯めなければ…」

多くのビジネスパーソンが、こうしたお金に関する悩みを抱えています。収入を増やそうと努力し、節約を心がけても、なぜか満たされない。むしろ、お金への執着や将来への不安は増すばかり。この終わりのないラットレースから、どうすれば抜け出せるのでしょうか。

今回ご紹介する苫米地英人氏の著書『金持ち脳~捨てることから幸せは始まる~』は、その根本的な原因を 「洗脳」 という衝撃的な言葉で解き明かします。

本書によれば、私たちが当たり前だと思っている「金持ち=善、貧乏=悪」という価値観そのものが、国家やメディアによって巧みに作られたものだというのです。

この記事では、あなたが知らず知らずのうちに囚われている「貧乏脳」の正体を暴き、そこから脱却して、真に豊かで自由な「金持ち脳」を手に入れるための具体的な思考法と実践術を、本書の内容に沿って詳しく解説していきます。

第1章:「金持ちになりたい」というあなたの願いは、”悪い洗脳”かもしれない

「お金がないと餓死する」という恐怖の正体

[cite_start]多くの人が「金持ちになりたい」と願う根底には、「お金がないと生きていけない」「貧乏はみっともない」という漠然とした恐怖があります。しかし、著者によれば、これこそが 国家による「経済洗脳」の核心 です。 [cite: 1]

[cite_start]考えてみてください。現代の日本において、本当の意味で餓死する人がどれだけいるでしょうか。日本には生活保護制度があり、最低限の生活は保障されています。著者が国会議員から聞いた話として、制度を最大限利用すれば月額25万円ほどになるケースもあるといいます。これは、一般的な企業の初任給を上回ることさえある金額です。 [cite: 1]

ではなぜ、私たちは「お金がない=死」という極端な恐怖を抱くのでしょうか?

[cite_start]それは、国家が税収を確保するために、国民にもっと働かせ、もっと消費させたいからです。 「貧乏は恥ずかしいことだ」という価値観を植え付け、恐怖と羞恥心で人々を煽ることで、経済活動を活発化させ、結果的に税収を増やす。 これが「経済洗脳」のカラクリなのです。 [cite: 1]

[cite_start]この洗脳は、私たちの判断をいかに鈍らせるか。著者は「復興財源」を例に挙げます。震災からの復興のような長期的な投資は、本来、国債で賄うべきです。しかし、「復興」という誰も反対できない言葉を使うことで、実質的には公務員の給与などに充てられる一般会計の増税が正当化されてしまう。多くの人がこの矛盾に気づかないことこそ、洗脳の恐ろしさだと指摘しています。 [cite: 1]

あなたの”欲しい”は、本当にあなたの”欲しい”ですか?

[cite_start]私たちの消費行動もまた、巧みな洗脳に基づいています。その代表例が、アメリカが戦後の日本に持ち込んだ 「3S政策(スポーツ、セックス、スクリーン)」 です。国民の関心を政治から逸らし、消費へと向かわせるための愚民政策でした。 [cite: 1]

[cite_start]特に「スクリーン(テレビ・映画)」の影響は絶大です。テレビドラマでタレントが着ている服、住んでいる家、ライフスタイル。それらすべてが「理想の生活」として私たちの脳に刷り込まれます。そして、「この生活を手に入れるにはお金が必要だ」と考え、消費経済の忠実な奴隷となっていくのです。 [cite: 1]

[cite_start]著者は、日本のIT長者でさえ、この消費経済のシステムの中で成功したにすぎず、「出世した奴隷」であると手厳しく評価します。 [cite: 1]

では、この洗脳という名の「幻覚」から抜け出し、本当の金持ちになるにはどうすればよいのでしょうか。
その答えは、 誰も考えつかなかった「付加価値」を自ら生み出すこと にあります。

それは、メディアが提示する借り物の価値観ではなく、純粋に自分の中から湧き出る「Want to(やりたいこと)」に基づいたものでなければなりません。

第2章:あなたの脳を支配する「貧乏脳」の正体

では、私たちを縛り付ける「貧乏脳」とは、具体的にどのような思考回路なのでしょうか。著者は、貧乏脳が二つの要素から成り立っていると分析します。

  1. 不満足脳:満足をお金で買えると信じ込み、常に支出が収入を上回ってしまう脳。
  2. 低自己評価脳:自分にはお金を稼ぐ能力がないと思い込んでいる脳。

貧乏の原因は「収入の少なさ」ではなく「欲望の多さ」

多くの人は、貧乏なのは収入が少ないからだと考えます。しかし、本書の定義は全く逆です。
[cite_start]「たとえ収入が低くても支出が少なければ金持ちで、高収入を得ていても支出が多ければ貧乏なのである。」 [cite: 3]

問題は収入の額ではなく、支出をコントロールできない「不満足脳」にあるのです。

[cite_start]現代の日本は、歴史上最も物質的に豊かな時代です。それにもかかわらず、多くの人が「お金がない」と感じるのはなぜか。 「理由は単純で、欲望が増えたから貧乏感が増している」 のです。 [cite: 3]

メディアは次々と新しい「理想の暮らし」を提示し、私たちの欲望を際限なく刺激します。しかし、満足は決してお金では買えません。お金で満足を得ようとすればするほど、新たな不満が生まれ、永遠に満たされることはないのです。

[cite_start]著者は、人間には 「想像力」と「記憶」という素晴らしい財産がある といいます。 [cite: 3] 沖縄の海に行かなくても、近所の海を見てその美しさを想像することはできる。一度体験したことなら、記憶を頼りにいつでも追体験できる。この脳の力を活用すれば、お金を使わずに「豪華な生活」を満喫することも可能なのです。

「正社員になりたい」に潜むワナ

[cite_start]貧乏脳のもう一つの特徴は、「低自己評価脳」、つまり「エフィカシー(自己能力に対する自己評価)」の低さです。 [cite: 3]

「自分には起業するなんて無理だから、安定した大企業で正社員になりたい」
「公務員になって、安定した生活を送りたい」

[cite_start]こうした考え方は、一見すると堅実な選択のように思えます。しかし著者は、ここに「自分は組織の歯車(奴隷)になるしか生きる道はない」という低い自己評価が隠れていると指摘します。 [cite: 3]

[cite_start]本当にエフィカシーが高い人間は、たとえ現在の収入が低くても、「その気になれば自分は稼げる」という自信を持っています。彼らは、組織に縛られることを嫌い、自らの能力とアイデアで道を切り拓こうとします。同じフリーターでも、いやいや働いている人と、高い目標のためにあえてその道を選んでいる人では、エフィカシーが全く異なるのです。 [cite: 3]

給料の高い安いという「報酬の限界」と、「自分の限界」を混同してはいけません。 この思い込みから抜け出さない限り、本当の意味で豊かになることはできないのです。

第3章:【実践編】貧乏脳から脱出し、金持ち脳へ乗り換える方法

では、具体的にどうすれば「貧乏脳」から抜け出せるのでしょうか。本書では、今日から始められる非常にシンプルかつ効果的な方法が提示されています。

ステップ1:テレビを消す

[cite_start]著者が最も強力に推奨するのが、 「テレビを消すこと」 です。 [cite: 4]
前述の通り、テレビは私たちの欲望を刺激し、消費へと駆り立てる洗脳装置の最たるものです。番組そのものが、人気タレントなどを通じて巧みに商品を宣伝するコマーシャルなのです。

[cite_start]「テレビの情報がないと不安だ」と思うかもしれません。しかし、著者に言わせれば、日本のテレビ番組の対象年齢層は「小学校高学年」レベル。 [cite: 4] そんなものに貴重な時間を費やすこと自体が、あなたのIQを下げ、自己評価を低める行為なのです。

テレビを消すだけで、あなたの物欲は劇的に減るはずです。 流行の服も、話題のレストランも、テレビという情報源を断てば、あなたの脳にとっては意味のないものになります。支出が自然と減り、あなたは「金持ち脳」への第一歩を踏み出すことができるのです。

情報が必要なら、自ら能動的に取りに行けばいい。その最適なメディアが、次に紹介する「本」です。

ステップ2:本を読む

[cite_start]著者は、 「唯一、貧乏脳をつくらないメディアは本である」 と断言します。 [cite: 4]
本、特に知識や教養を身につけるための本は、広告代理店の意図が入る余地がなく、著者の論理的な思考を追体験するプロセスを通じて、私たちの脳を鍛えてくれます。

テレビに費やしていた時間を読書に充てる。それだけで、あなたの思考は深まり、世の中のカラクリを見抜く力が養われます。幅広い知識は、社会的な責任を持って物事を判断する上で不可欠であり、本を読むことは「大人の責任」だと著者は述べます。

ステップ3:買い物の基準を「機能」に絞る

[cite_start]支出をコントロールするために、買い物の基準を根本から変える必要があります。その基準とは、 「その値段は『機能』についたものか、『装飾』についたものか」 を見極めることです。 [cite: 4]

[cite_start]著者は、自身が52万円のカシオ G-shockを愛用している例を挙げます。同じ金額があればロレックスも買えますが、彼が求めたのは「丈夫で壊れず、時間が正確」という「機能」でした。ロレックスというブランド名(装飾)は必要なかったのです。 [cite: 4]

舗装された道しか走らないのに高価な四輪駆動車を買う、ダイバーでもないのにロレックスを欲しがる。これらはすべて、メディアによって作られた「装飾」に価値を見出してしまっている状態です。

あなたが本当に求めるべきは「機能」です。 機能だけを追求すれば、ほとんどの物は驚くほど安価に手に入ります。この視点を持つだけで、支出は劇的に抑えられ、あなたは貧乏感から解放されるでしょう。

ステップ4:マイホーム信仰を捨てる

[cite_start]「賃貸より持ち家」というのも、日本に根強く残る悪い洗脳の一つです。 [cite: 4]
ローンを組んでマイホームを手に入れても、最初のうちは金利ばかりを払い、元本はほとんど減りません。さらに、固定資産税や修繕費といった維持費もかかります。

35年かけてローンを完済し、ようやく自分の資産になったと思っても、それは死ぬまでの、あるいは老人ホームに入るまでのわずかな期間です。そのためにローンに追われる生活を送ることが、本当に豊かな人生だといえるでしょうか。

物理的なモノに固執するのではなく、フットワークの軽さや自由を重視する。それもまた「金持ち脳」の思考法です。

第4章:「金持ち脳」を加速させる仕事の選び方

支出のコントロールと並行して、もう一つ重要なのが「仕事」の選び方です。

金持ちになる王道は「好きな仕事」をすること

[cite_start]「仕事は生活のために我慢してやるもの」と考えているとしたら、それは典型的な貧乏脳の発想です。 やりたくない仕事をしている人は、そのストレスを発散するために仕事以外の場で満足を求め、結果的に支出が多くなりがち です。 [cite: 5]

[cite_start]「金儲けの神様」と称された邱永漢氏も、「いちばんの金儲けの方法は、天職を持つことだ」と語っていたといいます。 [cite: 5]

[cite_start]ハーバード・ビジネススクールなどの調査によれば、 やりたいことをやっている人の生産性は、やりたくないことをやっている人の数百倍 にもなるというデータがあります。 [cite: 5]

好きなことを仕事にすれば、まず仕事そのものから満足感が得られるため、無駄な支出が減ります。さらに、生産性が飛躍的に向上するため、結果的に収入も増えていくのです。これが、金持ち脳になるための最も確実な王道です。

あなたの「天職」はどこにある?

[cite_start]では、どうすれば「天職」を見つけられるのでしょうか。著者は、単なる趣味を仕事にすることとは違う、と釘を刺します。仕事とは、マーケット(市場)の役に立ち、対価としてお金を得るものだからです。 [cite: 5]

[cite_start]天職を見つけるためのヒントは、 「人より自分が金を上手に使えるものは何か」 と考えてみることです。 [cite: 5]
これは、「自分が提供できる機能で、他の人よりも高い価値を生み出せる分野は何か」ということです。料理人であれば、同じ食材費でも素人より格段においしい料理(=高い機能)を提供できます。その価値に対して、人はお金を払うのです。

あなたが情熱を注げる分野で、なおかつ社会や市場が必要としていること。その交差点に、あなたの天職はあります。

[cite_start]収入を上げたければ、「転職場(同じ職業で会社を変える)」ではなく、「転職業(より付加価値の高い職業に変える)」を目指すべきだと著者は説きます。 [cite: 5] しかし、それもあくまで「やりたいこと」がベースにあるべきです。

まとめ:捨てることから、本当の幸せは始まる

苫米地英人氏の『金持ち脳』は、単なるお金儲けのテクニック本ではありません。それは、現代社会に生きる私たちが囚われている見えない檻、「経済洗脳」から自らを解放し、本当の豊かさとは何かを問い直すための、強力な思考の武器です。

本書が示す道は、実にシンプルです。

  • テレビが垂れ流す偽りの価値観を捨てる。
  • 見栄や他人との比較から生まれる無駄な欲望を捨てる。
  • 「お金がないと不幸になる」という恐怖を捨てる。
  • 「自分にはできない」という低い自己評価を捨てる。

これらを捨て去ったとき、あなたの前には、お金に振り回されることのない、真に自由で豊かな人生が広がっているはずです。

忙しい日々の中で、つい目先の収入や支出に一喜一憂してしまいがちなビジネスパーソンにこそ、本書の持つ根源的なメッセージは強く響くでしょう。まずは今日、テレビを消して、静かな時間の中で「自分にとっての本当の豊かさとは何か」を問い直してみてはいかがでしょうか。

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王立図書館の司書
はじめまして、管理人の「ブックロウ」です。まるで物語に出てくるフクロウのように、夜な夜な本を読みふけるのが私のライフワーク。特に、仕事や人生のヒントが詰まったビジネス書・自己啓発書には目がありません。「本を読む時間はないけど、知識はアップデートしたい…」そんな悩めるあなたの為に、私が代わりに本を読み、明日からすぐ使える実践的なポイントや成功のエッセンスを分かりやすく解説します。千葉県東松戸のカフェでこのブログを書いていることが多いので、もし見かけたら気軽に声をかけてくださいね。皆さんの自己成長をサポートできることを、心から楽しみにしています。
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