『すごい貯蓄』- 借金300万から資産2000万!最速で1000万円貯める「くらま式」FIREロードマップ
本書『すごい貯蓄』は、大学卒業時に約300万円の借金を背負いながらも、徹底した節約と貯蓄によってわずか4年半で資産2000万円を達成した著者・くらま氏による、最速で資産を築くための実践ガイドです。
本書の核心は、お金持ちになるために最も重要なのは「稼ぐ力」ではなく「貯蓄力」であるという点。年収はコントロールできなくても、支出は誰でもコントロール可能です。
この記事では、忙しいビジネスパーソンの皆さんに向けて、著者が実践した「1000万円」を最速で貯めるための具体的なロードマップ、鬼のような節約術、貯蓄を継続するメンタル術、そして資産を増やす投資の始め方まで、本書の要点を徹底的に解説します。
本書の要点
- 資産形成の基盤は「稼ぐ力」や「投資」以前に、最も強力な武器である「貯蓄力」にかかっている。
- 貯蓄には「100万円」「500万円」「1000万円」の3つの壁があり、特に最初の「100万円の壁」を突破できるかが、人生を変える最大の分岐点である。
- 貯蓄の土台は「先取り貯蓄」と「固定費削減」。特に家賃(理想は手取りの1割)、車(所有しない)、保険(なるべく入らない)の3大固定費を見直すことが最優先。
- 貯蓄はメンタルが9割。「継続する」「目的を明確化する」「見栄を張らない」「貯める>稼ぐ」「失敗から学ぶ」というメンタル術が資産を築く。
- 1000万円貯めたら、つみたてNISAやiDeCoを活用した「インデックス投資」を始め、将来の膨大な富の土台を作る。
なぜ年収が高くても貧乏な人がいるのか?答えは「貯蓄力」にあった
「あの人は自分より年収が高いはずなのに、いつもお金に困っている」
「自分はもっと稼がないと、一生お金持ちになれない」
多忙なビジネスパーソンなら、一度はこんなことを考えたことがあるかもしれません。しかし、本書の著者くらま氏は、その考えを真っ向から否定します。
お金持ちかどうかは、稼いでいる額ではなく、貯めている額で決まるのです。
どんなに高収入でも、支出が多ければお金は残りません。逆に、年収が平均的でも、支出を徹底的にコントロールし、手元にお金を残す「貯蓄力」さえあれば、誰でもお金持ちになれる可能性がある。それが本書の根幹をなすメッセージです。
年収は、会社の業績や景気、自分ではコントロールできない要素に左右されます。しかし、支出は100%、自分でコントロール可能です。
投資を始めるにも、FIRE(早期リタイア・経済的自立)を目指すにも、すべての基盤はこの「貯蓄力」にかかっています。そして何より、お金を貯められて不安が消えると、人生はめちゃくちゃラクになり、幸せになれる。
「だったら、今すぐ貯め始めて人生とっとと逃げ切りませんか?」
この強烈な問いかけこそが、本書の出発点です。
著者くらま氏とは?借金300万円から資産2000万円を築いた「倹者」
本書の説得力は、著者くらま氏自身の壮絶な経験に裏打ちされています。
彼はYouTubeチャンネル「倹者の流儀」で貯蓄や節約について発信する傍ら、ごく普通の会社員として働く人物です。
大学を卒業したとき、彼の手元にあったのは希望ではなく、約300万円の奨学金という名の借金でした。就職活動もうまくいかず就職浪人を経験し、「本当にこのままでは人生が詰んでしまう」という強烈な危機感から、人生の舵を切り直します。
お金を増やす方法は「支出を減らす」「収入を増やす」「お金を預けて運用する」の3つ。当時の彼にできることは「支出を減らす」ことだけでした。
そこから彼の「貯蓄マシン」としての日々が始まります。
- 家具は段ボール
- テレビは持たない
- 食事は1日1食
- 買い物は最小限
このように「小さく暮らす」ことを徹底し、生活費を月5万円以下に抑えました。
正社員として働き始めると、手取り20万円以上の給料に感動。「これなら借金を返せる」と希望を見出し、さらに副業OKの会社を選び、週5日働いた後に時給1500円以上のアルバイトを掛け持ち。
「寝ているか仕事しているか」という生活を送り、月30〜35万円の収入を得ながら、生活費は5万円以下。その結果、面白いくらいに預金残高が増え、社会人1年目で借金を完済。
そして節約生活を始めて4年半で、貯蓄・資産は2000万円を超えたのです。
彼は特別な才能や環境に恵まれていたわけではありません。大企業に勤めているわけでもありません。ただ、「支出を減らす」という一点を突破し、それを継続した結果、人生を好転させたのです。
あなたは超えられるか?人生を変える「貯蓄の3つの壁」
くらま氏は、1000万円以上の貯蓄を作る過程には、金額に応じて「3つの壁」が存在すると言います。
- 「100万円の壁」
- 「500万円の壁」
- 「1000万円の壁」
このロードマップで、最も突破が難しく、そして最も重要なのが、意外にも最初の「100万円の壁」です。
最難関「100万円の壁」
「たった100万円」と侮ってはいけません。統計データによれば、単身世帯で金融資産100万円未満の人は47%にのぼり、20代の中央値は20万円、30代でも56万円です。
今の日本では100万円を貯められている人の方が少数派なのです。
この壁を突破できない人は、増えては減るを繰り返し、一生お金に苦しみ続けます。逆に、100万円を貯めるプロセスで「貯める力」を手に入れた人は、お金をコントロールする側に回ることができます。
100万円を貯めた成功体験は自信を生み、人生の選択肢を広げます。まずは本気でこの壁を突破することが、すべての始まりです。
「500万円の壁」
100万円の壁を越えたら、次は500万円です。この段階で重要なのは「継続」です。
500万円は、いわゆる「生活防衛資金」として機能する金額です。仮にリストラや病気で無収入になっても、この蓄えがあれば1年〜2年は生活を立て直す時間を稼げます。
この「逃げ道」が確保できると、精神的な余裕が生まれ、転職や副業、起業といった「リスク(不確実性)」を取る行動が可能になります。そして、いよいよ「投資」を始める切符を手に入れる段階です。
「1000万円の壁」
死ぬ気で1000万円の壁を超えたら、人生は変わります。
心の余裕が格段に変わり、節約や貯蓄が「楽しい」状態になっています。この1000万円は、将来の膨大な富になる「苗」です。これを投資に回すことで、FIRE(早期リタイア・経済的自立)が現実的な選択肢として見えてきます。
【実践編】貯蓄マシンになるための「鬼貯蓄」テクニック
では、具体的にどうやって「100万円の壁」を突破するのか。著者が実践した「鬼貯蓄」の土台となるテクニックを紹介します。
1. 「先取り貯蓄」を徹底する
多くの人は「収入 − 支出 = 貯蓄」と考えますが、これではお金は貯まりません。
貯められる人は「収入 − 貯蓄 = 支出」と考えます。
給料が入ったら、真っ先に貯蓄分を別の口座に移し、残ったお金で生活する。これが「先取り貯蓄」であり、貯蓄を最優先する鉄則です。
2. まずは「収支の把握」から
自分が何にいくら使っているかを知らないままでは、節約は不可能です。
著者は手書きのExcel家計簿や「マネーフォワードME」などのアプリを活用し、収支を把握することを推奨しています。
ただし、完璧主義にならないこと。「適当でいい」から「継続する」ことが何より重要です。1円単位で合わせる必要はありません。
3. 最優先事項:「固定費」をとにかく削る
節約の順番を間違えてはいけません。食費や娯楽費といった「変動費」をちまちま削るより、毎月機械的に出ていく「固定費」を一度見直すほうが、効果は絶大かつ永続的です。
特に以下の3つは、著者が「絶対に」見直すべきだと断言する項目です。
① 家賃:「手取りの3割」は古い。理想は1割
「家賃を制すものは蓄財レースを制す」。
かつて言われた「家賃は手取りの3割」は、今の時代では使いすぎです。著者は、本気で貯めたいなら手取りの1割を理想としています。
著者は会社の家賃補助を活用し、手取りの「0.2割」(5000円)に抑えているそうです。
家賃補助や社宅のある会社を選ぶ、郊外に住む、シェアハウスや実家暮らしも選択肢です。家賃が下がれば、生活のゆとりは劇的に改善します。
② 車:「所有しない」がベスト
車は生涯で約4000万円かかると言われる、非常にコストの高い資産です。
本気で貯蓄するなら「所有しない」がベストな選択です。
「生活に必要だ」という人も、まずは「車を必要としない仕組み作り」を考えるべきです。
* 車が不要な職業に就く
* 車が不要な地域(公共交通機関が発達した場所)に住む
* 必要な時だけレンタカーやカーシェアを利用する
どうしても必要な場合は、中古でリセールバリュー(再販価値)の高い人気車種を選び、トータルコストを抑える工夫をします。
③ 保険:「なるべく入らない」
日本人は保険が大好きですが、著者は「極力入らない」スタンスです。
なぜなら、私たちはすでに「健康保険」という世界でも最強の公的保険に入っているからです。
病気やケガをしても自己負担は3割ですし、医療費が高額になっても「高額療養費制度」があるため、一度に何百万円も請求されるケースは稀です。
「起こる可能性は低いが、起こったら破産すること」にだけ保険をかけ(火災保険や自動車の対人賠償など)、それ以外は「貯蓄で備える」のが合理的です。
保険料を払い続ける代わりに、その分を貯蓄しておけば、いざという時に現金で対応できます。
4. 変動費は「自炊最強説」で抑える
固定費を削ったら、次は変動費、特に「食費」です。
結論は「自炊最強説」。
外食やコンビニ弁当は高くつき、健康にも良くありません。著者は1日1食の生活を実践し、自炊することで食費を劇的に抑えつつ、健康管理も行っています。
自炊は「節約」「健康管理」「料理スキル(一生モノの生存能力)」の一石三鳥です。
500万円の壁を超える「ワナ」と「追加作戦」
100万円を突破し、節約が習慣化してきた頃に陥りがちな「ワナ」があります。
- ワナ① 自分軸の揺らぎ
「普通はこれくらい」「みんな持っているから」という世間体に流されると、お金は貯まりません。「普通」という言葉は、実は貧乏ワードです。 - ワナ② 大きな支出
貯蓄ができて気が大きくなり、車や高級時計など大きな出費をしてしまうワナ。 - ワナ③ 総資産がプラスにならない
貯めては使い、貯めては使いを繰り返し、資産がゼロに戻ってしまう状態。
これらのワナを避けつつ、500万円の壁を超えるために、以下の「追加作戦」を実行します。
追加作戦①:銀行口座の使い分け
お金を一つの口座で管理すると、貯まった気になって使ってしまいがちです。お金を用途別に「色分け」する必要があります。
- 生活費口座(使う):家賃や光熱費の引き落とし、日々の生活費。
- 目的貯金用口座(いずれ使う):旅行、車の買い替え、教育費など、目的が決まっているお金。
- 資産口座(貯める・増やす):絶対に手を付けない長期資金。老後資金や投資用。
特に「資産口座」を分けることが重要です。
追加作戦②:ふるさと納税
資金に余裕が出てきたら、「やらなきゃ損レベル」の制度である、ふるさと納税を始めましょう。
実質負担2000円で住民税の納付先を変え、返礼品(お米や肉など)をもらえるため、食費などの変動費を劇的に抑えることができます。
1000万円達成!「貯める」から「増やす」フェーズへ
1000万円の壁を突破したら、いよいよ「貯める」から「増やす」フェーズ、すなわち「投資」を始めます。
著者は、貯蓄ができる人は投資適性があると言います。なぜなら、どちらも「コツコツ継続する」ことが成功の鍵だからです。
そして、貯蓄が得意な人に最も相性が良いのが「インデックス投資」です。
なぜインデックス投資なのか?
インデックス投資とは、日経平均やS&P500といった市場全体の指数(インデックス)に連動する成果を目指す投資信託です。
- ハードルが低い:100円から始められ、一度設定すれば自動で積立可能。
- 理論的裏付け:長期で見れば、プロが運用するアクティブファンドよりインデックスファンドが勝る確率が高いというデータがあります。
- 貯蓄と似ている:短期的な売買をせず、将来の果実のためにコツコツと時間をかけて資産を育てます。
国の推奨制度(NISA・iDeCo)を活用する
投資を始める際は、税制優遇のある国の制度を最大限活用します。
① つみたてNISA
年間40万円までの投資で得た利益が、最長20年間非課税になる制度です。
* メリット:運用益が非課税。いつでも引き出し可能(資金拘束がない)。
* デメリット:元本保証はない。年間40万円の上限がある。
② iDeCo(個人型確定拠出年金)
自分で作る私的年金制度です。
* メリット:掛金が全額所得控除になり、強力な節税効果がある。運用益も非課税。
* デメリット:原則60歳まで引き出せない(強力な資金拘束)。
著者は、まずは貯蓄で生活防衛資金を確保し、余剰資金でこれらの制度を活用することを強く推奨しています。
収入を増やす最終兵器:働き方と副業
支出を極限まで減らし、投資を始めたら、次に取り組むのが「収入を増やす」ことです。
働くことこそが最強の節約・蓄財法
著者は「楽してお金持ちになる」考えを捨て、本業+副業でとにかく働くことを実践しました。
働くことは、お金を使う暇をなくす「最強の節約術」でもあります。
重要なのは、いきなり高年収を目指すのではなく、「貯蓄ができる会社選び」をすることです。
- 賃金の高い地域を選ぶ
- 車が必要のない職種・場所を選ぶ
- 福利厚生(特に住宅関連補助)が充実した会社を選ぶ
- 人員不足の仕事(夜勤など)を選ぶ
- 苦痛じゃない仕事を選ぶ
- 副業可の会社を選ぶ
特に「住宅補助」は実質的な年収を大きく引き上げます。
副業は「事業所得」を狙う
著者は最初、アルバイト(給与所得)で副業をしていましたが、節税効果が薄いと痛感。
そこで、開業届を出し、「個人事業主」として事業所得(YouTubeなど)を得るよう切り替えました。
事業所得なら、経費が認められ、青色申告特別控除(最大65万円)も使えます。
「会社員年収600万円」より、「会社員年収300万円+事業所得300万円」のほうが、手残りが多くなるのです。
まとめ:とっとと貯めて、人生の不安から逃げ切ろう
『すごい貯蓄』は、単なる節約術の本ではありません。借金のどん底から這い上がり、自らの力で人生のコントロールを取り戻した著者の、魂の記録です。
1000万円を貯めるプロセスは、自分自身を変えるプロセスでもあります。
貯めた頃には、お金の価値観が変わり、見栄を捨て、自分軸で生きられるようになっているはずです。
1000万円という資産は、
* 投資によって将来の膨大な富(数千万円)になる可能性
* 働き方を自分で選べる「セミリタイア」という可能性
* お金の不安なく使える「自由でメリハリのある生活」という可能性
をもたらしてくれます。
著者は、貯蓄とは「自分自身のコップにしっかりと幸せを注ぎ込んでいるような状態」だと言います。
お金の悩みから解放されたい、自分らしい人生の舵を取りたいと願うすべてのビジネスパーソンに、本書は「今すぐ行動せよ」と強く背中を押してくれます。







